第703話 騒ぎ出す国
アメリカ、中国の二国が軍事開発にチカラを入れている事に世界の国々も様子を伺っていた。
とある大国が仕掛けた戦争に敗れ、チカラを落とす中、二国のチカラのバランスは世界平和にとって重要な物となっていた。
特にとある半島ではその動きが激化していく。
南の国はアメリカに魔力素材の提供を申し出る。
「ワシントン大統領、我が国の国防の為に、魔力素材の提供と魔力仕様のF-35を提供してもらいたい。」
「何故提供する必要がある、しかもこの機体は我が国でまだ開発中の機体である、提供するわけにはいかない。」
「ですが、我が国はF-35の購入をしたんだ、提供してくれないと困る。」
「それは通常のF-35だ、魔力仕様とは異なる物だ。」
「そんなことはどこにも書いていない!
我々は高い金を出しているのだ、魔力仕様を渡すのは当然のことだ!」
「当然でもなければ、渡す気もない。」
ワシントンはハッキリ断るものの、南の国では自国を軽んじられた、契約違反だと大騒ぎとなる。
その結果・・・
「異世界とは我が国から派生した世界である。
したがって、かの世界で手に入れる事が出来るものには我が国に権利があり、その恩恵を受けている日本は我が国に賠償する必要があるのだ!」
意味不明な研究発表を国立大学教授が世界に向けて発表するとともに、反日活動を開始する。
アメリカを批判していた筈なのにいつの間にか日本叩きに変わってしまうのはお国柄なのであろうか・・・
あまりの暴論に日本だけでなく世界が驚愕する中、南の国だけが勢いよく日本叩きをしていた。
関係ない話から、何故か騒動に巻き込まれた日本は困惑する中、宮木総理は荒唐無稽な意見に反論する。
「異世界の発生がどこかなど、全く根拠の無い話であり、日本が賠償する責任など、どこにも存在しない。」
当たり前の事を当たり前に言っているだけなのだが、何故か反日活動はさらに燃え上がり、暴論は留まるところを知らない。
ついにはヨシノブが南の国出身者だという意見も出始める。
「ヨシノブのルーツは我が国であることは明白、大戦時に日本に攫われた一族であり、優れた我が国の人材を日本が搾取してきた証拠でもある。」
全く根拠の無い話を堂々と語る大学教授に日本関係者は辟易する、そもそも出身者だから何なのだという話でもあるのだが、何故か自慢気に語る者が多く、出身国である南の国に恩恵をもたらせと騒ぎ出す。
「お兄ちゃん、こっちは凄い騒動になっているよ。」
「え、えーと、俺って日本人だったはずなんだけど。」
妹のカオリから連絡が来て、俺は苦笑いするしかない。
カオリによると南の国では俺達の家系図が出てきているみたいで、爺さんの代で日本に移住してきていることになっているのだが、当然そんなことはない。
挙げ句、その家系図には妹の名前は無いのだ。
あまりに杜撰な家系図に笑うしかなかった。
「私達兄妹じゃなかったのね。」
カオリも笑っている。
「俺も知らなかったよ、爺さんがキムヨヨンなんて名前だなんてな、前田信縄って偽名か?」
「おじいちゃんに怒られるよ、ウチは家系図もしっかりあるし。」
「まあ冗談はさておき、ちゃんと反論しないとご先祖様に顔向けできないからな、ジョーに連絡してアメリカから強く言ってもらうよ。」
「アメリカからなの?日本政府に言ってもらえば?」
カオリは首を傾げる、日本人として表明するなら日本からのほうがいいのではないかと考えるのだが。
「あの国は日本の言うことなんて聞かないだろ?
それならアメリカから強く言ってもらった方が静かになると思う。」
「あーわかる気がする。」
苦笑しつつもカオリも理解を示し、俺はワシントンに連絡をするのだった。
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