第697話 アメリカの新たな研究
ルーデルがもたらしたA-10魔力仕様は世界に新たな技術をもたらそうとしていた。
アメリカの研究者アルバはA-10の素材を手に入れることが出来ていた。
「分子構造的には変化が無いようだが、魔力ねぇ・・・」
もたらされる情報の中には信じられない話も混ざる。
だが、アルバはその信じられない話に取り組む。
超能力者、魔女、霊能力者など様々なオカルト的な人物に声をかけ、素材の変化を調べていく。
多くの者達を集め調査するものの、素材は何の変化も無かった。
アルバが研究を諦めかけていた時、オカルト好きな友人の大学教授から一人の日本人を紹介される、彼はアメリカに留学に来ていた日本人、安倍メイセイという青年だった。
メイセイの実家は古くから伝わる陰陽師の家系であり、自身もその術を多少なり会得しているという。
疑わしいながらも、友人の薦めということもあり、一応実験を行う。
「メイセイといったね、本当に出来るのか?」
「自分は未熟ですが、札に霊力を持って護符を作る事はしたことがあります、要は素材に護符と同じ効果をもたらしたらいいのでしょ?」
そう言ってメイセイはアルミ板に墨で文字を書いていく。
「六根清浄、六根清浄・・・
臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前
はあぁぁぁぁ!」
メイセイが呪文を唱え、気合が入った声を上げる。
「メイセイできたのか?」
「ええ、退魔護符と同じようにしてみました、どうでしょう、何か変化がありましたか?」
メイセイは古くから一族に伝わる術にどのような科学的に効果があるか興味があった。
秘匿すべき術を調べることに祖父や本家の者にバレると怒られるかもしれないが、知的好奇心に勝てなかった。
「調べてみよう。」
アルバはアルミ板の剛性、弾性を調べていく、結果は思わぬ物だった。
従来のアルミ板より10%程の向上がみられたのだ。
「メイセイ!素晴らしいぞ、これは誰でも出来るのか?」
「いえ、素質があり、修行を行った者だけが習得出来ると聞いてますが。」
「そこから研究する必要があるのか、素質とは何を指すのか・・・修行の方法に秘密があるのか・・・
メイセイ!君の実家に連絡を取ってくれないか?」
「じ、実家にですか・・・」
メイセイは実家に知られると間違いなく叱られるので少し二の足を踏む。
「メイセイ、これは人類の革新なんだ!古代から伝わる技術が現代の技術と交わり、新たな技術を生む!
その瞬間を自分達の手で生み出すのだ!」
アルバの熱意に負け、メイセイは実家に連絡を取る。
新たな技術の誕生。
それは新たな混乱の幕開けでもあった。
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