第679話 シモ、お家に帰る

「ハルくん、寂しかったのよ。

シモお姉ちゃんが帰って来たのよ・・・

カルラなにしてるのよ、ハルくんを豊かなお腹から降ろすのよ。」

帰ってきたシモは一目散にハルノブのところに走っていった。

しかし、そこで見たのは横になっているカルラのお腹の上に座り、上機嫌なハルノブの姿だった。

「シモ、豊かなお腹って何よ!」

「たわわに実ったお腹なのよ。」

「実ってません。」

カルラは否定するがハルノブはカルラのお腹をペチペチ叩いている。


「うにゅ、ハルくんお腹を叩いちゃダメなのよ。

カルラが傷つくのよ。」

シモはハルノブをダッコする。

「あっ・・・って傷つくって何よ。」

ハルノブが離れたので少し寂しい気持ちになるが、とりあえずカルラは立ち上がる。


「ハルくん、シモお姉ちゃんが帰って来たのよ。」

「だぁ。」

ハルノブは嬉しそうに手を振って喜んでいる。

「シモ〜〜〜誰のお腹がたわわですって?」

「カルラなのよ、お胸のようにお腹も引き締める必要があるのよ。」

「お腹は出ていません!・・・少ししか。

それに胸もおっきくなってるから!」

カルラはまだ成長期だ、これから大きくなるところなのだ。


「そんなのは些細なものなのよ、ハルくんお姉ちゃんがいなくて寂しいかったのよ。」

シモはハルノブに語りかける、実際に寂しがっていたのはシモのほうなのだが。


「あら、シモが留守でも寂しくなかったそうよ、おとうさんは探してた時はあったけどシモの名前は呼んでなかったわ。」

「そんなこと無いのよ。ハルくんの一番のお姉ちゃんがいなくて寂しいはずなのよ。」

「一番のお姉ちゃんは私よ!」

「シモなのよ!」

カルラとシモは互いに睨み合う。


「二人共、ハルノブの前ですよ。お姉ちゃん同士が喧嘩してどうするんですか。」

言い合いをしている二人をサリナが引き離し、ハルノブをシモから取り上げダッコする。


「うにゅ、ハルくん!おかあさん、返してほしいのよ。」

シモはピョンピョン飛んでハルノブを触ろうとしている。

「喧嘩する悪い子にはハルノブを任せれません。二人共、ごめんなさいは?」

「シモ、ごめんなさい。少し言葉が過ぎたわ。」

「うにゅ、カルラごめんなさいなのよ、身体的特徴をいじるのはダメなのよ。」

「・・ねえ、シモ謝ってる?」

「うにゅ、謝ってるのよ。カルラのお腹については言わないのよ。」

「お腹は出てないからね!ちゃんとダイエットしてるから。」

「まだ、出てるのよ、一度出たお腹はなかなか無くならないのよ・・・」

「いやぁ〜〜〜」

カルラは再びダイエットを開始するのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る