第660話 フォルサの訪問理由
「それでファイを叱る為に来たの?」
ファイはフォルサからのお叱りを受けて床に転がっており、シモが棒でつついている。
「それもあるが、魔王様がヨシノブと対談したいと言っておられるのだ。」
「魔王様が?」
「うむ、ルーカス商会の商品を見て興味をお持ちになられたようでな。
どうであろう、一度魔王城に来てもらえぬか?」
「魔王城ですか・・・
魔族の方には人間を嫌う者もおられるのでは?」
「確かにアホガンテのような者はいる、だが、此度は魔王様の思し召しだ、攻撃できるとは思えん。」
フォルサが安全性を示すも、先日襲われた事を考えると魔王城に行くのは控えた方がいいとかんじる。
「フォルサには悪いけど、危険性を考えたら行けないかな?」
俺が断りを入れると・・・
「何をほざく、危険だから行かないだと、それでもワシの息子か!」
何故かアキラに叱られる。
「違います、息子ではありません。」
「嘆かわしい、まだそんな事を言うのか、それもこれも性根が甘いからじゃ、漢は死地に入り自分を磨かねば一人前にはなれん!」
「それは孫にやらせてください。」
「リョウにもやらせる、じゃがまずはヨシノブからじゃ、魔族如き鼻歌交じりで退治してこい。」
「あ、あのご老人、鼻歌交じりに退治されると我々の沽券にも関わるのですが・・・」
フォルサは苦笑いをしている。
「なんじゃ、ワシなら簡単に出来る事じゃ、シモちゃん。」
アキラはファイをつついて遊んでいたシモに声をかける。
「うにゅ?お歌なのよ、シモお歌が得意なのよ♪
リナに個性的だから人前で歌わない方がいいって言われたけど魔族さんの前なら大丈夫なのよ。」
よくわかっていないシモは歌を歌う事しか頭に入っていないようだった。
「はぁ、まあ来てくれるならそれでもいい、ヨシノブ、娘が来ると言っているのだ、来てみないか?」
少し呆れながらもフォルサはヨシノブを誘えるならとシモを材料にして交渉する。
「フォルサ、止めた方がいい、仮に魔族にこちらを害する者がいたら取り返しのつかない事になるぞ。」
「何を言っている、なに事前に害しないように伝えておく。
アホガンテを難なく倒したお前達だ、もし害するような者がいるなら倒してもかまんぞ。」
「フォルサ、俺は止めたからな。絶対に敵対者を出すなよ。」
「わかった、わかった、大丈夫だ、魔王様の名で命令も出してもらう。」
「うにゅ、魔王城進撃なのよ!勇者アキの大冒険なのよ♪」
シモの目が輝いていることに不安しか覚えないのだった・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます