第658話 ルーデルやりたい放題
地球のとある戦場では不思議な事が起きていた。
誰が倒したかわからない戦車が多数出ていた。
「ルーデルくん、君は出撃したのかい?」
「何のことでしょう?ボクはイイコにお留守番している予定だったはずです。」
「予定通りにしていたかを聞いている。」
「いやですね、プライベートな事なので、話したくないです。
ただ、日常を繰り返しただけですよ。」
「君の日常に爆撃があるか聞きたいな。」
「漢は日々戦いですよ。」
トーマスとしては頭が痛い。
基地のある隣国を攻めている大国の戦車がことごとく爆撃されている、中には戦艦も爆撃された事が確認されている。
だが、アメリカ軍のレーダーにもルーデルの機体は感知されておらず、司令部では混乱しているところだった。
トーマスが気づいたのは、不自然な程に大人しくしているルーデルを不審に思ったからだった。
「いいか、ルーデルくん、君が出撃する時は護衛をつける必要があるんだ、君の腕前は知っているが敵に撃墜されると非常に困る事態になるのだ。
A-10で空中戦は難しいだろ?」
「えっ?空中戦出来ますよ。A-10の性能を舐めないでください。」
ルーデルはサラッと戦闘に出ていることを匂わせる、どうやら発覚している以上の戦果がありそうだった。
一方、大国に攻められている隣国では謎の爆撃機を英雄として讃える動きがあった。
戦火の激しい地区で大量の戦車を破壊しつくし、大国といえど戦線を下げるしかなかった。
「あれは神の助けだ!」
「我らの守り神だ。」
「我々には神がついている、苦しい状況ではあるが我らの勝利の時は近い!」
苦しい状況にありながらも、士気を向上させることに一役かっていたのだ。
反対に大国では・・・
「何なのだ、なぜ誰も爆撃機を発見できん!」
大国の司令官は部下を怒鳴り散らしている。
レーダーに映ることなく、次から次に爆撃を許し、あまつさえ戦闘機すら二十機を超えて落とされていた。
「お、お言葉ですが、レーダーに映らない新兵器をアメリカが開発したのではないかと・・・」
「我が国はまだアメリカと開戦はしていないんだぞ!それなのに仕掛けてきているというのか?」
現在、アメリカとは偶発的な戦闘のみという建前を互いがしていた、そのために地上部隊を破壊している事がアメリカ軍だった場合、大国同士の大戦に発展する可能性がある、現状では政治的にアメリカ軍の参戦は無いとふんでいる。
「ですが、隣国が新兵器を開発できるとは思えません、やはりアメリカの・・・」
「憶測は禁物だ、我々の行動で世界大戦になる。
そもそも、ここまで甚大な損害を受けてアメリカと戦えるといえるのか?」
大国の地上部隊は壊滅的なダメージを受けている。
すなわち大戦になった場合、本国が火の海になりかねない。
司令官としては世界大戦にするわけにはいかなかった。
「なぜだ、なぜだこんなことに・・・」
司令官は朝から晩まで執拗なまでに上がってくる被害報告に頭を悩ませていた・・・
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