第648話 陥落
マックスの斬撃により、崩壊していく北壁では阿鼻叫喚と化していた。
「なんなんだ、何が起こっておる!」
「レックス殿!とにかく外へ!」
ライトはレックスを連れて外に出る。
そこには崩壊した北壁が存在していた。
「何があったんだ・・・」
レックスは頭が回らない、先程まで堅固であったはずの城壁がいとも簡単に破壊されている。
兵士達も既に戦意は失われており、あっけに取られて剣を落としている者もいた。
「レックス、呆けるな!
まずは白旗を上げろ!こうなった以上戦争は負けだ!」
「ああ・・・誰か白旗を、いや白い布なら何でもいい早く上げて降伏の意思を示せ!」
レックスが指示を出すものの多くが呆けており、動きが遅い。
「急げ!死にたいのか!」
叫ぶレックスがふと目をやると既に白い布を手にマインズ軍に振っているものがいた。
「早いな・・・いいんだが指示を出す前から、振ってないか?」
レックスは少し複雑だった、勝手に降伏しようとした者がいたのだ。
よく見るとそれは杉本だった。
「たすけて〜ボクは関係ないんです、こんな街に縁もゆかりも無いんです、ただ巻き込まれただけなんです!
お願いします!」
杉本は必死に命乞いをしている。
あまりの醜さに攻めてきたマインズ兵も嫌そうな表情を浮かべている。
「ボクはこんなところで死んでいい存在じゃないんだ、なあ頼むよ、そうだヨシノブに連絡してくれ、マインズ王国ならわかるだろう!
ボクは日本人なんだ!」
マインズ兵も日本人と聞いては勝手に斬るわけにはいかない。
あまりのウザさから斬ってしまいたい気持ちを一旦しまい込む。
「ヨシノブ様の関係者なら身の安全は保証します。
ですが、確認する必要がありますので一旦捕縛させてもらいます。」
「捕縛ってどういうことだよ、後でヨシノブが聞いたら怒ること間違いないぞ。身元確認の間もそれなりの待遇を要求する!」
杉本は自身が傷つけられないと確信を得た瞬間、先程までの低姿勢は消えて無くなり、持ち前の傲慢さが顔に出てくる。
「自分では決めれません、とりあえずついてきてください。
上に確認しますので。
ただし、変な真似はしないように、必要なら斬っていいと許可は出ていますので。」
一兵士としては扱いに困る、とりあえず陣に連れて行き、上の判断を待つことにするのだった。
願わくば、道中変な真似をして斬らせてくれる事を願うが、杉本は無駄に大人しくついてくる。
報告を受けた上司はひとまず天幕を一つ杉本の為に用意し、そこに留める事にする。
戦後処理まで見張りをつけて放置することになるのだった。
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