第640話 一度撤退
「なんと、敵が動いたか!全員城に退くぞ!」
ムロは追撃部隊が壊滅された事をきき、部隊を引き上げる。
「結局、この漢の狙いどおりになったと言うことか・・・敵ながら見事!」
敵とはいえ、生命をかけて任務を全う仕切ったリィにムロは敬意を払う。
しかし、この漢がいなければ・・・
あたえた敬意と同じ程の悔しさも感じる、マックスが自身で出撃せねばならぬほどの要人を取り逃がしたのだ、戦局を覆す機会を失った事も感じる。
ムロは部隊をまとめ城に戻る。
「ムロどうだった?」
「ライトすまない、好機を逸した。」
「そうか・・・」
「敵の攻撃はどうなっている?」
「それが先刻から止まっている、何があったかは知らないがな。」
「やはり、要人だったのか。」
ムロは唇を噛む。
逃した魚は思った以上に大きかった。
「ライト、ムロ、この戦は負けだ、さっさと逃げようぜ。」
ライトとムロが話している中!アシタも入ってくる。
「アシタ、逃げたかと思ったぞ。」
「逃げてもいいんだが、せめて声ぐらいはかけようかとな。」
「アシタお前も負けと見るか?」
「当たり前だろう、それに敵の気勢がひでぇな、殺意しか感じねえ、この町にいるやつを皆殺しにしかねない。」
「まさか、町には一般人もいるんだぞ。」
ライトはそこまでするとは考えていなかった、マックスといえば世界に名を轟かす名将、今更その名を貶すような事はしない筈だと。
「アシタの言うとおりだ、敵の気配は異常だ、皆殺しの暴挙をしてもおかしくないと思う。」
ムロもアシタの言葉を肯定する。
こうなるとライトも考える・・・
「やはり、交渉して道を探すしかないか・・・」
「できるか?向こうが安易に許すとは思えないのだが。」
「レックス殿の所に第三国の政治家がいるそうだ、その者なら即座に始末されることは無いだろう、その者経由で話を進めるしか・・・」
「人となりを知らん相手に、全面信任を与えるのは危険ではないか?」
「致し方ないだろう、まずはこちらと話すテーブルについてもらわねばならない。
ひとまずレックス殿に話してくる。
・・・もう一度聞く、戦で勝ち目はないのだな。」
「残念だがな・・・」
ムロは悔しそうに伝える、城壁をアッサリ破壊する者を相手に勝てる気がしない。
兵力差もあり、ひっくり返すことは不可能にしか思えなかった。
ライトは悔しそうにムロを見て、戦ではない道を模索すべきと判断する。
そして、レックスの元に話に向かうのだ。
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