第639話 救助完了

マックスと合流して、助かったカルラは安堵からサイサリスの上で倒れる。

「カルラ様!」

既に馬から降り、手綱を引いていたアナベルが不安な声を上げる。

「だ、大丈夫です、少しチカラが抜けただけです、それよりアルバートの救援に向かわないと・・・」

「そのことは既にマックス軍に伝えてあります。

敵兵の抹殺とともに即座に動き出しました。

カルラ様はゆっくりとお休みになられてください。」

「でも、私も行かないと・・・」

カルラは疲れた体を起こそうとする。


しかし、チカラが入らない。

「おかしいですね・・・私が行かないといけないのに・・・」

カルラはどれだけ気丈に振る舞っていても、戦闘力の無い女の子だ、生命のかかった戦場をくぐり抜けたばかりだ。

恐怖から瞳から涙が零れ落ちており、既に何か出来る状態では無かった。


「カルラ様、今はお休みください、これ以上は御身体に障ります。

我等を信じてください。

これより、私も捜索隊に加わりますので。」

「ま、待ってください!アナベルさんも助かったばかりで無いですか、それにかなりのお怪我もしておられます、アナベルさんこそお休みください。」

「私は漢ですから、この程度の怪我などかすり傷にございます。」

アナベルと話している所にマックスがフランツと共にやってくる。

「フランツ、無事だったのね。」

「うん、カルラも無事で良かった。」

カルラとフランツは互いの無事を泣いて喜んでいた。


マックスは感動の再会をするカルラへ配慮し先にアナベルに礼を述べる。

「アナベル、ご苦労だった、お前の活躍でカルラさんが助かった、礼を言おう。」

「勿体無きお言葉、死した者たちも喜びましょう。」

「うむ、手厚く葬ってやれ。

さて、カルラさん、お怪我はございませんか?」

マックスはカルラに顔を向ける、あらためて見るとカルラの姿は焦燥しきっており、普段とは全く違う・・・


「これは!!一大事である!すぐに休養出来る場所を用意せよ!」

「今、準備をしております、今暫しお待ちを。」

マックスの隣にいるガラハッドが冷静に答える。


「カルラさん、今日はゆっくりお休みください、うん?わかった。」

マックスが話している所に兵士が走ってきて情報を伝える。

「カルラさん、朗報にございます、アルバートくんの無事が確認されました、イゾウ殿が保護したようです。」


「アルバートも・・・よかった・・・」

アルバートの無事を聞いたことで緊張の糸が切れたのか、カルラはそのまま意識を失い眠り始めるのだった・・・

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