第620話 閑話ワシントンの帰国

「ヨシノブ、世話になったな。」

「ジョー、また来てくれよ。」

俺とワシントンは別れ際互いに握手を交す。


短い時間だったが国を治める政治家ワシントンとの話は学ぶものが多かった。

そして・・・


「ルーデル、地球に行っている間はトーマスさんの言うことをよく聞くんだぞ。」

「はい、おとうさんの名に恥じないよう頑張ってきます!」

ルーデルは自ら留学を申し出ており、俺はそれをワシントンに相談して受け入れてもらっていた。


「俺の名なんて気にしなくてもいいから、身体に気をつけてな。」

「はい、頑張ってきます。」


「トーマスさん、ルーデルを頼みます。」

「任せておけ、と言ってもこの子は優秀だからな、見聞を広めるぐらいにしかならんかも知れん。

それより、退役したらここに置いてくれよ。」

トーマスは大きく笑い、俺と握手を交す。


「ええ、是非。

子供達も喜びます。」


こうしてアメリカ一行は帰国していった。


帰国したワシントンは今回の異世界渡航の結果を国中に発表する。

「我々は画期的な薬、ポーションの輸入体制を得ることが出来た!

これにより救われる者も多く出るだろう!」

ワシントンの発表に国が沸き立つ、そして、ルーデルがお世話になるからとヨシノブが特別に魔力を込めた上級ポーションを百程別枠として渡されていた。


ワシントンは国の機関に命じて効能を調べたが・・・


「なんだ、これは・・・ガン細胞が消えただと・・・」

ヨシノブが魔力を込めた事により、アマテラスのチカラが施されたポーションはあらゆる病気を治す特効薬とかしていた。

このことは難病に苦しむ者達へ光となる。


そして、それは新たな問題も生むことにもなるのだ。


無尽蔵にある訳でも無い特別なポーション、病気に苦しむ者からすれば喉から手が出る程に魅力的であり、どんな手段を用いてでも入手したい。


だが現状入荷出来るのはアメリカだけとなっている。

そして、そのアメリカとて対価を簡単に用意出来ない為に次の入荷は未定であった。


「ルーデルくん、欲しい物ややりたい事はあるかね?」

ワシントンはルーデルに気をつかっていた。

ヨシノブの子供ということもあるが、彼が無理を望めばヨシノブが気をつかって、ポーションをくれるだろうという思惑も少なからずあった。


「トーマス教官と基地に行ってみたいです。」

ルーデルの望みは簡単に叶う。

元々子供達の相手をしていたトーマスは良好な関係を築いており、トーマス自身めんどうを見ることを苦にしていないのは明らかだった。


「そうか、なら一緒に行動することを許可しよう。」

ワシントンはルーデルに大統領命令をつけて、その行動を縛らない事を約束するのだった。


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