第613話 カルラの謁見

カルラはマックス宅を訪ねていた。

「カルラさん!よ、ようこそお越しくださいました。」

マックスは顔を真っ赤にしてカルラを出迎えていた。


「マックス様、本日こちらに来たのは私はそろそろビザ領に向かおうと思いまして、そのご挨拶にきたのです。」

「おお!!カルラさん、そう言うことなら私もお供します。

あの地を治めるという命令もございますからな。」

マックスはカルラと一緒に向かう気漫々だった。


「それでなんですが・・・あの、今回向こうに行ったら軍をお借りしたいのです。」

「どうぞ、好きにお使いください!」

マックスはアッサリ了承する。


「あ、あの、いいんですか?もしかしたら戦争になるかも知れないのですけど。」

「カルラさんが向かう戦場なら私も行きますから問題ありません!」

「ルーズ王陛下にもご連絡をしたほうが・・・」

「いりません!」

マックスはカルラの頼みを引き受けるなら王の許可など必要無いと考えていた。


しかし、カルラとしてはそういう訳にはいかない、困ったカルラはマックスの部下、ランスロットに伝えてルーズ王に知らせてもらうことにした。


「なに?ヨシノブの子供から軍を借りたいだと?」

ランスロットから連絡を受けたルーズは首を傾げる、あの子供達ならマインズ軍の力を借りなくても何でも出来そうだった。

そのためにカルラに会う事にする。


マックスと共にやって来たカルラにルーズは優しく語りかける。

「カルラと言ったかね、この度は軍を借りたいと聞いたが事情を教えてもらえないだろうか?」


「はい、実はこの度は私達は父ヨシノブに怪我を負わせた1党を始末するつもりなのですが、その際、ビザ領に侵入してこないように国境を塞いでもらいたいのです。」


「ふむ、それぐらいは構わないが、そのことはヨシノブは知っているのか?」


「父ヨシノブは優しい人です。

自身の怪我の復讐など考えてもいないと思います。

ですが、子としては許せるものではありませんし、何より父ヨシノブをキズつけたらどうなるか、世界に知らしめる必要があるとおもっております。」

カルラは決意のこもった眼をルーズに向ける。


「うむ、その孝行の気持ち、素晴らしいものがある。

ヨシノブは自身の事を横に置きすぎだからな、この際、ヨシノブに手を出すとどうなるか、世間に知らしめよう。

マックス、カルラと共にビザ領に赴き、敵を討て。」

「お任せあれ、我が武勇カルラさんの為に使いましょう。」

「うむ、我が国の武威を見せるいい機会だ、存分に戦ってこい。」

ルーズとマックスは高らかに笑うが、当のカルラは・・・


「あの国境の封鎖でいいのですが・・・聞いてませんね・・・」

戦意を高める二人にカルラの呟きは聞こえなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る