第614話 帰ってきたカルラ

カルラはマックスと共にロモンに戻ってくる。

カルラが離れている間にカルラの計画を元に騎士団主導で近隣の住民の避難から、救済処置まで順調に進んでいた。

その為にカルラの人気は高まっており、到着とともに住民から歓迎の声が上がる。


「マックス様、すごい人気ですね。」

「あはは、この歓声の多くはカルラさんのものですな。」

マックスとカルラは港からオープンになった馬車に二人で乗り、ゆっくりと指揮所となっている庁舎に向かい歓声に手を振り応えていた。


「カルラ様、よくぞおもどりくださいました。」

ズルとルマがカルラを出迎える。

「ズルさん、ルマさん留守中、変わったことはありませんか?」

「順調に進んでおります。」

「それはよかったです、ところで動かせる軍はどれほどありますか?

頼みたい事があるのですが。」

「カルラ様の命令とあらば、このロモンにいる全軍一万ご自由にお使いください。」

ズルは当然かのように答える。


「え、えーと国境のふう・・・」

カルラの声を遮るようにマックスがズルに話しかける。

「ズルよ、カルラさんは父の仇を取るためにティエラ連邦、レックス領に攻め込むのだ。」

「お父様の仇にございますか・・・心中お察し致します。

我等ビザ軍全軍をもって仇討ちに全力を尽くします!!」

ズルはカルラの父が討たれたと勘違いをして、涙を流す、そして、ズル配下の将達は涙を浮かべる。

彼等の脳裏には非業の死を遂げたカルラの父の姿があった。


「え、えーと、何か勘違いをされてませんか?」

カルラはみんなのとり方が重すぎるので、少し不安になる。


「弔い合戦だ!レックス領を奴らを血祭りに上げるぞ!」

「ち、違いますから!弔い合戦じゃありません!」

「わかっております。カルラ様はお父上に報告なさってください。

我等一堂、修羅となり、敵を討滅してくれましょう。」

ズル以下ビザ領の将達と兵士の士気は高い。


カルラの救済策で家族が救われたものも多く、カルラの為に力を貸せるなら進んで行う気になっていたのだ。


「静まれ!」

すぐにでも出陣しそうなズルをマックスは止める。

「マックス殿、お止めなさるな!我らはこれより敵を討つところにございます。」

「何を勝手なことを言っている。」

マックスはズルを睨む。


「そ、そうですよ、国境の封鎖だけで・・・」

カルラはマックスが止めてくれたことに安堵して当初の予定通り、国境の封鎖を頼もうとしたのだが・・・


「カルラさんの為に戦にでるのは俺の役目だ!先陣は譲らん!」

マックスは斜めの方向に進んでいく。


「あ、あのマックスさま?」

カルラはマックスに説明していたはずなのだが、マックスの中では仇討ちの事しか残っていなかった。

「カルラさん、安心してください。

ヨシノブの仇は私がとります!

どうぞ私の勇姿をご覧ください!」


「違いますよね、国境封鎖だけで・・・」

再度カルラがマックスに説明しようするとズル達ビザの将達はコッソリ部屋から出ていこうとする。


「おい、待てズル!何を勝手に出ていこうとしているんだ!

さては抜け駆けする気だな!」

マックスも追い駆けるように部屋から出ていくのだった・・・

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