第609話 砂原の異世界

「何?日本から来た者が訪ねてきたのか、わかった。すぐに会おう。」

レックスは砂原達に会うことをすぐに決める。


レックスの中では杉本を迎えに来たものだと思っていた、その後の交易に対しての有益な話し合いを行おうとワクワクした気持ちであった。


「・・・なに?あなた方も飛ばされて来たのか。」

砂原と話し始めるとレックスの気持ちは一気に落ち込む。

「いかにも、たしかにレックスさんの懸念はわかる。

だが安心したまえ、マインズ王国に連絡を取ってもらえばヨシノブという男を通じて迎えが来るはずだ。」

砂原は党の代表でもあったことから多少なり異世界の情報を得ていた。

そして、日本人でもあるヨシノブから迎えが来ることに疑いすらもっていなかった。


「マインズ王国ですか・・・その国は隣ではありますが我が国と長年争いが絶えず、現状国交も無い状態ですな。」

レックスは砂原の様子を伺う、もしマインズ王国に通じる者なら状況次第では捕縛するつもりだった。


「なんと争っている間柄でしたか、だが心配無用、マインズ国など我が国に頭が上がらぬ国、レックスさんが望むなら和平の仲立ちを致しましょう。」

「・・・それは当然我が国に有利な話になるのでしょうなぁ?」

「当然でしょう、この私の恩人になる方に恥をかかすわけにはいきませんからな。」

砂原は大きく笑う。

その姿に嘘は無く、レックスも信じてしまうのだった・・・


レックスは砂原達に客室を用意し、杉本と一緒に保護することになる。

「おお、杉本くん、君もこちらに来ていたのか。」

「砂原さん、砂原さんご自身がこの私を迎えに来てくれたのですか!」

砂原に出会えた杉本は感激していた。

「いや、迎えに来たわけでは無いのだ、私もここに飛ばされてな、連絡をしてもらう手筈を頼んだところだ。」

「砂原さんはここがどこかわかったのですか!」

「もちろんだとも、ヨシノブがいる場所の隣国だ。国交が無いみたいだから少し手こずるだろうが、連絡が来ればすぐに迎えがくる、それまでの辛抱だ。」

砂原は先程知ったばかりの情報を堂々と答えていた。


「我々は迎えが来るまでノンビリ待つことにしようではないか。」

砂原はその言葉の通り、ノンビリすごすせばいいのだが・・・


「杉本くん、ここは生活に不便な所はあるがワインは美味いな。」

「砂原さん、たしかに味わい深いですな。」

砂原はレックスが丁重にと手なしていることをいいことに優雅に過ごしていた。


「おい、お前たち砂原さんにおつぎしないか。」

杉本は身の回りを世話をするためにつけてくれた使用人の少女達に接待をさせていた。

彼女たちは平民出身であり、レックスが丁重にもてなす客に何も拒否できなかった。


「いやはや、レックスというやつは趣味がいい。見ろ、この子なんかアイドルグループにいそうな程可愛いぞ。」

砂原はそう言うと近くにいた使用人の胸を揉む。

「やっ、やめてください。」

「あはは、初心なのもなかなか良いではないか、日本だとこれぐらいの歳の娘に手を出せば捕まってしまうからな。」

「ここは異世界ですからな、日本の法律は関係ありませんな。」

「うむ、それに身の回りを世話をしてもらうのだから、当然・・・」

砂原が少女をいやらしい目で眺める。


「お、おやめください。私はそのようなことは・・・」

「なんだ?身の回りの世話をするように言われているのだろ?

ならとうぜんのことではないか。

さあ、今宵は楽しもう。」

砂原は気に入った少女を連れて、自室に入るのだった・・・

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