第606話 国会にて・・・
「えー、自己紹介しますね、日本を管理しているアマテラスといいます。
知らない人はいるのかな?」
アマテラスは優しく問いかけるが誰もが畏れ多く返事ができない。
その中で砂原はいち早くひざまずくのを止め立ち上がる。
彼は泣いてもいなかった。
「アナタは誰だ、勝手に国会に入り込み、ましては壇上で話すなど言語道断、警備員は何をしている、さっさと叩きだせ!」
だが、涙を流す警備員は誰も立ち上がらない、命令としては理解出来ても、身体が動こうとしないのだ。
代わりに野党議員で泣いていなかった者達が砂原の周りに集まりだす。
仲間が集まってきた事で砂原は安心する、仮に暴漢だったとしても人数がいれば女一人何とかなるだろう。
安心すると気が大きくなる、悪態をつきながらアマテラスに向き合うが、
「役立たず共が、こんな女に何を・・・」
砂原はそこまで言ってふと気づく、目の前の女が異常なほどの美女であることを・・・
「ふむ、賢くは無さそうだが、いい顔と身体をしているな・・・」
砂原はボソリと呟く。
「金珠議員、あの女を捕まえて私の部屋に連れてきてもらえるか。」
「はぁ、砂原代表も好きですなぁ・・・
おい女、意見があるなら別室で聞こうじゃないか、私と一緒にきたまえ。」
金珠がアマテラスに手を伸ばそうとするが・・・
「無礼者、神に汚い手で触れようとは・・・身の程を知れ!!」
アマテラスから優しい雰囲気は消え、更に神威が溢れ出す。
その姿に全員が恐怖に震え地面に張り付くだけとなる。
「神たる我に欲情を持ち触れようとは万死に値する!そもそも日本の行く末を考える場に日本人以外がいるなどありえぬ!
我が領域から消え失せろ!」
アマテラスの言葉に砂原の周りに集まっていた議員の姿は無くなるのだった。
宮木はこの騒動が始まってから、何とか体勢を立て直しヨシノブに電話をしていた。
幸いコールは短く繫がることができた。
「ア、天照大神様が国会に降臨されたんですが!!」
「うん?宮木さん何を慌てているんですか?
アマテラスさんが説明に行くみたいな話をしてたでしょ?」
「そ、そんな話だったんですか?」
「宮木さん、余裕無さそうでしたからわからなかったのかも知れませんね。」
ヨシノブの声はどこかホンワカしている。
「何をノンキな・・・こっちでは野党議員が十五人ほどの消えたんですよ!」
「アマテラスさんがそんな事をしたの?
・・・まさかとは思うけど、誰か怒らせたの?」
ヨシノブは不思議そうにしているが、ふと思ったのだろう怒らせたか聞いてくる。
「野党議員が少し、その・・・性的な発言が・・・」
「あー、ボク無関係なんで電話切っていい?」
「切らないでください!ヨシノブさんしかアマテラスさんに話しかけれませんよ!こんなことならヨシノブさんかリョウさんに来てもらえばよかった・・・」
宮木は胃に穴が空きそうな思いをしていた。
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