第583話 同行者

宮木は人選に悩んでいた。

ワシントン大統領が向かう以上、宮木自身が行くことも検討している・・・


「宮木総理、異世界に行く事が出来るということは本当ですか!」

「なんだね、砂原さん、いきなり執務室に来たと思えばやぶから棒に・・・」

人選に悩んでいるときに野党第一党の代表砂原がやって来る。

「答えてください!」

「まあ、向こうで結婚式に参列する予定はあるが・・・」

「嘘を言わないでください!ワシントン大統領と秘密裏に会合を持とうとしていることはわかっているんです。」

「まあワシントン大統領も向こうにいる以上、会合を持つことはあるだろう。」

「それなら野党からも人を出させてください。」

「いや、今回は・・・」

「宮木総理、我々のわからない所で何をするつもりですか!やましいことがあるから野党の人間は入れれない、そう言いたいのですね。」


「いや、そんな事は言っていない、ただ・・・」

「総理!やましくないならここで約束してください!もししないと言うならこの事をマスコミを通じて報道させてもらいます。」


「待ちたまえ、異世界の話は世間が敏感になっているんだ、交渉の結果しだいでは世間が騒がしくなるだろ!」

「でしたら、野党から杉本が同行します。

よろしいですね。」

「そのような。事をのめる訳が無い、帰りたまえ。」

宮木は砂原を追い返す。


翌日には与党幹部の口山がやって来る。

口山は派閥の長であり、宮木も意見を無視できない存在だった。。

「宮木くん、異世界の情報を与党だけで独占するのもどうかと思う。

野党の提案をのみ、杉本を同行員に加えてはどうかな?」

「口山さん、なぜそのような事を、この件は与党に、いや政府にとって大事な話。

どこの国に向いて政治をしているかわからない者を連れて行くべきでは・・・」


そこまで言って宮木は気付く、口山自身、隣国との関係を重視する発言が多い。

噂を信じるならかなりの金も貰っているとの話があった。

そして、砂原達、野党第一党も隣国擁護の発言が多い・・・


「口山さん、まさか!」

宮木はまさかとは思うが、冷や汗が流れる。


「なんだね、私はあくまでも国の為に言っているんだ。

君を総理に推薦した恩を返してもらおうか。」

「今、言いますか・・・」

「貸しというものは大事な所で使うものだよ、宮木くん、よく覚えておきたまえ。」


口山のゴリ押しに宮木は砂原の要求を聞くしかなくなり、杉本の参加を許す。

これがどのような結果を生むか、宮木は不安でしかなかった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る