第567話 神の対談
「天照殿、近頃地球から勝手に往来しているみたいだが、どういうことだ!」
アーアは天照と対談して抗議を入れていた。
ヨシノブ達が自由に往来することは本来あってはならない事だ、
「その件については、弟須佐之男の所から天鳥船が盗まれた事が発端でして、私としても遺憾の意でございます。」
「それにだ!アキラはどうしてこっちにいる。サッサと引き取りに来い!」
「互いの世界への干渉は出来ない決まりになっておられるはず、私としても何とも出来ない状態でございます。」
天照はのらりくらりとアーアの申し出をかわす、アーアがイライラしている姿を見るたびに今まで迷惑をかけられた分だけ清々する。
「そんなことを言っていいのか、こちらに来ているヨシノブとか、いう奴の加護を消してもいいのだぞ。」
アーアはヨシノブが天照の加護を受けるほど気に入られている事に気づいていた。
そして、トートが授けた力を使って生活している事も知っていた。
「どうぞご勝手に。」
天照は交渉にもならないといった感じで放置する。
「見捨てるとは冷たい奴だ、だが私はやるぞ。
お前の子が路頭に迷う事を指を咥えて見ていろ。」
アーアはヨシノブの力を消す・・・しかし、消えない。
「アーアさん、甘いですね。ヨシノブさんの力は私が上書きしておきました。
私のかわいい子供に貴方がたのような力が入っている事は許せませんから。」
「くっ、それこそ内政干渉だ!神々の取り決めを逸脱している。」
「勝手に私の世界から人を連れて行くのも神々の取り決めから逸脱しています。
貴方が訴えるなら、どうぞ、神の裁定を下してもらいましょう。」
神の世界にも裁判のシステムがあった。
神同士が互いの主張をぶつけて譲れない時に最高神に上申して議論にて話し合うのだ。
結果は最高神が決め、その裁定は絶対の物になる。
その為に不利になりそうな者は裁判に持ち込むことは無く、実際あまり行われていなかった。
「天照殿、そのような事を最高神に伝える必要は無い・・・だが、これ以上私の世界に関与は止めてもらいたい。」
「あら、私は貴方の世界に関与してませんよ、あくまでも私の世界の子供にだけ関与しているだけです。」
「くっ、不愉快だ、私は帰らせてもらおう。」
アーアは一方的に対談を終わる。
そして、帰ったアーアは苛立ちを隠さなかった。
「くそっ!天照の奴め、こちらを見下しおって。」
「荒れているなアーア。」
「エーエか、天照の奴が私の世界に干渉してきているのだ、荒れもするだろう。」
「往来している奴らの事か?」
「そうだ、奴らは好き勝手に往来して、世界の理を何だと思っているのだ!」
「ならば神罰を下せばよいではないか。」
「近くにアキラがいる、そんなに単純な事ではない。」
「アキラが離れている時にやればいいではないか、それに奴らを見ていると幼子を大事にしているようだ。
幼子をさらえば言うことを聞くようになるだろう。
あとはその幼子をこちらの都合のいいように洗脳すればよい。」
「ふむ・・・しかし、アキラが大人しくなるか?」
「幼子の大事に仕方を見れば、攻撃はできまい。」
「ならば、スキを見てさらうか・・・」
「ヲーヲの奴が気配を消すのが上手いからな、奴に任せよう。」
「ヲーヲを地上に降ろすのか?」
「仕方あるまい、こちらも多少の犠牲が無くば成功せん。」
「わかった、必要な物があれば人でも物でも用意しよう。
必ずや成功させよ。」
「わかってる。この件は俺が上手くやっておく。」
エーエは手配をするために準備に向かうのだった。
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