第568話 お怒りの妹

「お兄ちゃん、サリナさんと結婚式あげてないんだって?」

「な、なんだ、カオリいきなり。」

「いきなりじゃないわよ、何で結婚式あげてないの!」

「え、えーと、いろいろあって忙しかったし・・・」

「言い訳はいいの!女の子にとって結婚式は大事なのよ!それをお兄ちゃんたら・・・」

俺は朝からカオリに責め立てられる。

どうやら昨晩サリナと話して結婚式をあげていない事を知ったらしい。


「それでどうするの?

やるの?やるよね?やるしかないよね?」

「ちょ、ちょい待ち、選択肢がない・・・」

「有るわけないでしょ!どうせ今は暇なんでしょ!」

「いや、いろいろ情勢が動いているというか・・・」

「そんなことを言ったらいつまでも出来ないでしょ!やると決めてからにはすぐに動く!」

「まだ、決めて無い・・・」

「あん?なにか言ったお兄ちゃん?」

「・・・何も言ってないです。

すぐに行動にうつります。」

俺はカオリに押し切られる形で結婚式の準備を始める事になる。


「あ、あの、そこまで無理にしなくても・・・」

あとから話を聞いたサリナは俺に申し訳無さそうにしている。

「いや、この事は俺が悪いよ、ごめんねサリナ。

結婚式が遅れて。」

「いえ、ヨシノブさんが大変だったのは知ってますし、その私でいいんでしょうか?」

「いいも何も、結婚式をする相手はサリナさんしかいないけど?」 

「だ、だって、他に王族の方と結ばれる際にシコリになるのでは?」

「王族の方と結ばれる予定がないから問題ないよ。」

サリナはどこまでも少し気まずいような雰囲気があったが、それでも結婚式をすること自体は嬉しそうに感じる。


「サリナ、気にすることはない。マインズ王国はサリナが正妻であることを認めている。

お父様もわかっているから安心して。」

「リズさん・・・」

「マインズ王国はサリナさんの邪魔はしない。

これ大事な事だからちゃんと伝えておく。

それに結婚式のご馳走楽しみにしてる。」

口の端からヨダレが出しながら話すリズに毒気が抜かれたのかサリナは笑顔になるのだった。


そして、俺は関係者に招待状をだす。

当然、父親のリザーク、祖父のルーカスと祖母のマーナを始め、各地でお世話になった人に招待状を出すのだった。



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