第565話 ローザのお客様
街に買い物に行っていたローザが人を連れて帰ってきた。
「ローザ、そちらの方は?」
「昔、命を助けて貰った方です、お仕事を探しているみたいなのでお連れしたんです。
おとうさん、屋敷で雇ってもらえませんか?」
ローザは事情を話し、深々頭を下げる。
「頭を下げる必要は無いよ、ローザが連れて来たんだから雇うに決まっているけど、さて、何の仕事をしてもらおうかな?」
俺は少し考える。
「失礼だけど得意な事ってあるかな?」
俺は三人に質問する。
「俺達は元冒険者で探索とかは得意なんですが、その一般的な事は少し・・・」
俺は答えてくれたマッチョの右腕が無いことに気付く。
「リミ、世界樹の雫を取ってきて。」
「わかりました。」
俺はマッチョに屋敷に置いてある世界樹の雫を使い腕を治す。
「腕が治った!!」
腕が生えてきたマッチョは目を白黒させていた。
「うちで働くなら、腕を治しておかないとね。」
「ありがとうございます。ありがとうございます。」
マッチョは諦めていた腕が治った事に感謝を述べていた。
「昔、ローザが世話になったみたいだからね。
腕が治ったのもそのお礼と思ってくれていいよ。」
「け、欠損が治るなんて・・・」
「そんなの知らない。」
リリルとパナスは顔を見合わせ、マッチョに使ったと思われるポーションの非常識さに驚いている。
「さて、君達には・・・何をしてもらおうかな?
えーと、何かしたいこととかある?」
俺は悩んだ挙げ句、当人に聞くことにする。
「俺は何でもします!」
マッチョは何でもすると言ってくれるが迷っている俺には一番困る返答だった。
「私達も何でもします。」
二人もマッチョと同じ事を言い出す。
「えーと、それなら屋敷の管理をしてもらおうかな、詳しくはヘルマンに教えて貰って。
ローザ、三人をヘルマンのところに案内して。」
「はい、皆さん私について来てください。」
ローザは3人を連れて部屋から出ていく。
「ローザちゃん、私達雇ってもらえたんだよね?」
「はい、条件などはヘルマンが提示してくれますが、悪い条件にはならないと思いますよ。」
「なあ、あの人・・・いや御方は何をしている人なんだ?」
マッチョは簡単に腕を生やすような高位ポーションを初対面の自分に使ってくれたヨシノブが何をしているのか気になる。
「おとうさんは王様なんです。」
「王様?いやいや、マインズ王国の王はもっと歳をとった人で。」
「マインズ王国じゃないんです。
こちらには滞在しているだけなんです。」
「そうなのか?じゃあ俺達も別の国に行くことになるのか?」
「それでもいいですけど、こちらの屋敷の管理をすると思いますよ。」
「屋敷の管理って留守中の管理もするのか?
俺達、初対面なのに管理を任せて大丈夫なのか?」
マッチョはヨシノブに危害を加える気は無いが、初対面の自分達を信用するにはまだ早いと感じる。
「リリルさんたちなら大丈夫だと思ってますが、一応・・・おとうさんに逆らうようなら私の恩人といえど、どうなるかわかりませんよ。」
さっきまでのローザの穏和な雰囲気が消え、殺気のこもった目を向けている。
「大丈夫だ、俺達は恩を忘れたりはしない。
なにせここで働けないと町中じゃ仕事もロクなのがないからな。」
「わかっているならいいんです。
私もリリルさんたちに危害を加えたい訳ではないですから。」
ローザの雰囲気が元に戻る。
それだけでもどれだけヨシノブを慕っているかが感じられた。
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