第545話 世界が騒ぐ

日本政府が公式にモトキの逮捕を発表した為に異世界に留学している事が公となっていた。


「宮木総理、このような大事な話を同盟国である、アメリカに秘密裏に行うとはどういうことかね?」

宮木はアメリカ大統領、ワシントンから直通電話で責められていた。


「これはワシントン大統領、この異世界に留学は試験的な物でありまして・・・」

「その試験的な物で致命的な失敗をしたんだろう!」

「そ、それは現地に行った研究者が失態を犯してしまいまして・・・」

「そのような者を選んだのは日本政府ではないか、今後このような、話があれば我が国からも人を出す。

日本政府に任せていては、異世界との交流が途絶えかねん。」

「そんな横暴な事は・・・」

宮木を含め日本政府は同盟の名の下、事実上、戦後からアメリカの支配下から抜け出せていない。

傲慢な対応すら拒絶しにくい状況にある、ましてや今回大失態を犯した後なのだ、

宮木は渋々ながらも認めるしかなかった・・・


「上手くいきましたね、大統領。」

「ああ、日本が失態を犯すのを待っていたからな、次の使節団には我が国からも人員が派遣出来るだろう。」

「・・・ただ、懸念なのは次の使節団があるかですね。」

「そこは日本政府の頑張りに期待だな、だが向こうにいるのも日本人だろ?

あの国の国民はお人好しが多いからな、たぶん大丈夫だ。

それより、我が国から送る人員を検討するぞ、日本のように失敗するわけにはいかんからな。」

ワシントンは人格を最優先に使節に送るべき人材を選定にはいるのだった。


一方、イギリスでは政府がレオを通じて、ヨシノブとの交流が出来ないか模索に入る。

「レオ、ヨシノブ氏との交流は出来るか?」

イギリス首相ドレイクがレオと直接対談して交渉に入る。


「交流ですか?一応こちらに配慮して貰っていると思いますが?」

レオはヨシノブの妹カオリを保護している事もあり、良好な関係を築いていた。

娘と妻がおねだりしても普通に贈ってもらえるぐらいには友好的だった。


「化粧品の事は知っている、上流階級にそれなりに出回っているようだからな。」

「お恥ずかしい話ですが、妻のワガママを聞いて貰ってます。」

「だが、もう少し交流を広げれないか?」

「広げるのですか?」

「異世界にはポーションの他に地球に無い金属もあるのだろう?

それを我が国にも送ってほしい。」

「それでこちらからは何を渡せば良いのでしょうか?」

レオはヨシノブに渡す対価を聞く、一方的な関係が上手くいくはずがない。

政府として正しい対価が提示されないようならレオはヨシノブに話を持っていく気も無かった。


「それなのだよ、いったいヨシノブ氏は何を欲しているのか?

交流の無い我々には全くわからん、金で良いのなら用意する準備はあるのだが。」

ドレイクはどれだけ閣僚と話しても答えが見えないので交流のあるレオに聞くことにしたのだ。


「ヨシノブの欲しいものですか?

・・・思い当たらないですね。」

レオは考えるが全く思いつかなかった。


「それなら聞いてみてくれないか?」

「聞くだけなら聞いてみましょう。」

レオはドレイクの頼みを一応引き受ける。

聞くぐらいなら大丈夫だろうと・・・


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