第534話 ショウ、カズトに伝えるも・・・

ルナが夜這いに行った事はショウの耳にも入る。

「そうだよな、元々カズトに機会なんてないもんな。」

ショウからしたら当然の結果なのだが、変に恋心を持ったカズトに伝えるか考える。

「ショウ、難しく考えないで伝えるべきよ、変に拗らせたら、おかしな事になるかもよ。」

ショウが悩んでいると隣で寝ているミキがアドバイスをくれる。

「そうだよね、タケフミみたいになる前に止めないと。」

ショウは決心して、カズトに真実を伝える。


「ルナさんが好きなのはヨシノブさん?

またまた、ショウ冗談がすぎるな。」

「カズト、冗談じゃないんだよ。」

「だって、あの人既婚者じゃないか、えっ何、浮気?いや不倫なのか?最低だな。」

カズトの口からヨシノブの悪口が出たのでショウは慌てて口を塞ぐ。


「カズト!お前何を言ってる!ヨシノブさんは誠実な人だ、絶対悪く言うな!」

「な、なんだよショウ。

なんでそんなに慌てているんだよ。」

カズトは気付いてないが、聞こえた子供達の何人かは殺意を持ってカズトを見ている。

ショウは気付いており、背中に冷や汗が流れる。


「カズト、ここでヨシノブさんを悪く言うのは御法度だよ、小冊子にもあっただろ?」

「はあ?事実も駄目なのか?」

「ヨシノブさんは浮気するつもりがないみたいだけど、ルナさんがヨシノブさんと結ばれたがっているんだ。

それにサリナさんもそれを認めているからね。

結ばれるのは時間の問題だと思う。」


「なんだよそれ、ルナさん騙されているんじゃないか?」

「騙されてないよ、それにルナさん、クレアグループのお嬢様だぞ。

もしヨシノブさんの事が無くてもカズトに惚れる事はないよ。」

「そんなこと無いだろ、百歩譲ってヨシノブさんに惚れているとしても、俺にだってチャンスがあるはずだ。」

「どこからくるんだよ、その自信は・・・」


「俺の頑張る姿を見てくれていたんだぞ、きっと俺が流す汗に見とれていたに決まっている。」

「いや、ハートくんに打ちのめされて、涙と鼻水流しながら訓練してたよね、惚れる要素は無いと・・・」

「うるさいショウ、俺は一人前に成長したんだ、きっとルナさんも・・・」


「ショウ兄、最下級訓練生を連れて行ってよろしいでしょうか?」

ショウとカズトが話している中、ハートが二人の子供を連れてやって来る。

「ハートくん、なんのつもりかな?」

「私の訓練を初級とはいえ行ったものが、不届きな発言をしたと通報がありました。

今一度矯正すべくやってまいりました。」

「・・・断ったら?」


「ショウ兄、わかっているでしょう?

我々は遊びでやっている訳じゃないんです。」

「わかっている、ただ命までは取らないでくれ、これでも友人なんだ。」

「わかりました、おいゴミ、訓練再開だついてこい。」

「はあ?終わった筈だろ、俺は今日から異世界探訪に出るよて・・・」

カズトの言葉を遮るようにハートは言葉を被せる。


「黙れ!愚か者にそのような自由は無い!

ショウ兄の友人ということで早めに終わらせてやったがどうやら間違いのようだったな。

その性根を1から叩き直してくれる。」


「なっ!誰が愚か者だ!」

「愚か者に失礼だったな、お前はゴミだ、生きる価値の無いゴミだ。

その性根が治らん限りお前はゴミから抜け出すことはない。」

「このガキ、今までのシゴキも気に食わなかったが何様のつもりだ。」

「教官に歯向かう態度、許すものではない。

連れて行け。」

後ろに控えていた子供がカズトの顎を殴り、一瞬で意識を奪う。


「ショウ兄、失礼しました。

このモノは責任を持って矯正致します。」

「くれぐれも死なせないように。」

「わかりました、ただ訓練は特別な場所で行いますので面会は出来ないとお思いください。」

「・・・わかったよ。」

「行くぞ。」

ハートはカズトを連れて姿を消すのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る