第524話 カズトの恋心

「なぁ、ショウ、ルナさんって知ってるよな?」

訓練の終わったカズトは痛む身体をおしてショウに話しかけていた。

「ルナさん?そりゃ一緒に住んでるからね、知ってるよ。」


「あんな綺麗な子が彼女になってくれたらなぁ・・・

ショウ、ルナさんって彼氏いるのか!」

カズトは凄い勢いでショウに質問する。

「え、えーと、彼氏はいないよ、でも・・・」

「そうか、今、フリーなのか!」

カズトは嬉しそうにしている。

しかし、ショウは複雑な表情を浮かべるのだ。


ルナが惚れている相手はヨシノブであり、ヨシノブ自身は相手にしている素振りは見せないものの、子供達やサリナとも友好関係を築いており、外堀を埋めている状態とショウは見ていた。


「カズト、ルナさんは止めた方が、いいと思うよ。」

「なんだよショウ、独占欲か?

そりゃルナさんは綺麗だから惜しい気持ちはわかるけど、ショウにはミキさんがいるじゃないか、ルナさんは俺にくれよ。」

「いや、俺がどうとかじゃなくて、ルナさんには好きな相手が・・・」

ショウがカズトに説明しようとしているとヨシノブが通りかかる。


「ショウくん、そちらが友達かい?」

「ヨシノブさん、身体はもう大丈夫ですか?」

「・・・なんとか、筋肉痛でバキバキになってるけどね。」

ヨシノブの動きがどことなくおかしいのはどうやら酷い筋肉痛のせいだった。


「あはは・・・

あっ、そうです、こいつが友達のカズトです。

ほらカズトも挨拶して、この人がヨシノブさん、」

ショウはあらためてヨシノブを紹介する。


「どうもはじめまして、カズトです。」

「話はショウくんから聞いているよ、安易にこちらで暮らせるとは言えないけど、この一ヶ月で日本とは違う経験を積んでくれたらいいと思っているよ。」

「はい、お世話になります。」

「ショウくんの友人だから、なるべく生活の配慮はするようにするから、何かあれば言ってね。」

「はい!」

「ショウくんは一ヶ月間休暇ということでカズトくんの面倒をお願いね。」

「いいんですか?」

「急ぎですることもないし、折角友達が来ているんだ、ショウくんが案内してあげたらいいよ。」

「ありがとうございます。」

俺はカズトに挨拶をして自室に戻る。


「ショウも休みになったな。」

「いいのかな・・・」

「いいんじゃねぇか?それより、案内頼むよ。

異世界に来たんだから、イロイロ見てみたいし。」

「それはいいけど、まずはハートくんの訓練を乗り越えてからだね。」

「・・・アレを乗り越えるのか?」

「カズトが希望したんだからね、せめて初級はクリアしないと逃げれないよ。

・・・大丈夫、長くても一週間で終わるから。」

ショウは少し遠い目をしていた。

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