第517話 ショウとカズト
「ショウ、ここがお前の住んでいるところなんだな。」
カズトは歓迎会でショウを見つけて話しかける。
「ああ、カズト、ようこそ異世界へ。」
ショウとカズトは再会に軽く拳を合わせる。
「そういえば、ヨシノブさん身体が弱いのか?」
「そんな事はないけど・・・」
「さっきまで元気そうだったのに体調不良なんて。」
「あれはね、時々行われる特訓のせいなんだよ。」
ショウは苦笑いを浮かべながらカズトにこたえるのだ。
「特訓?すげぇ、そんなのやってるのか!」
「うん、すごいよ、俺は軽くしか参加出来てないけど、ヨシノブさんは本気でやられてるからね。」
「やっぱ、異世界に来たら強くならないとな!
なぁショウ、それって俺も参加できるのか?」
「・・・出来るけど、止めといた方がいいよ。
まずは他の所を見てから、見学したほうが。」
「いや、折角異世界に来たんだ、まずは強くならないとトラブルにあった時対応出来ないじゃないか、それに特訓イベントを無視して良いことなんて一つも無い。」
「カズトが言うなら、参加出来るようにするけど・・・俺は止めたよ。」
ショウはカズトの意志が固そうなので説得を諦める、実際強くなる事は悪くない。
「おう!ショウ頼むよ。
俺も強くなってテンプレを起こすんだ!」
カズトは異世界に来てテンションが上がりすぎていた。
まるで自分が物語の主人公になったような気分になっていた。
ショウとカズトが話しているのを見てミキがやってきた。
「ショウ、その人が友達の方?」
「ミキ、そうだよ友達のカズトだ。」
「はじめまして、ショウの妻のミキです。」
「えっ?」
カズトは妻と言われて固まる。
「ミキ、まだ結婚してないじゃないか、カズト、ミキの冗談だから、彼女のミキだ。
こっちにいる間に会うことも多いと思うからよろしくな。」
「・・・ショウ、彼女がいたのか?」
「こっちに来てからね。」
「裏切り者!」
カズトはショウに殴りかかる。
「ちょ、ちょっと、いきなりなんだよ。」
ショウはカズトのパンチを軽くかわす。
「一人で先に彼女を作りやがって、どうせ親の目が届かない事をいい事に、アーンな事やコーンな事を楽しんでるのだろ!
あの桜の下で結んだ、童貞の誓いを忘れたのか!!」
「いや、そんな誓い結んだ記憶が無いのだけど。」
ショウは謎なハイテンションなカズトにあきれている。
「童貞の誓いってどんなのですか?」
なぜかローラが近くに来ていて、カズトに問いかける。
よく見ると女の子がこちらを意識しているようだった。
「カズトやめろ!下手な事を言うな!」
ショウは危険を感じてカズトの口を塞ごうとするが・・・間に合わなかった。
「童貞の誓いは、生まれた時は違っても捨てる時は同じという誓いなんだ、俺達4人が入学式の後、伝説の桜の下で誓ったんだ。」
「誓ってない!そもそも捨てる時が同じってどういう状況!!
はっ!みんな俺は関係無いからね。」
ショウは女の子達に聞こえるように否定するが、何人かの子はこちらをチラチラ見ている。
何人かの会話が耳に入る。
「お尻はカウントしないんだよね?」
「当然よ、ショウ兄はミキ姉に会うまでに・・・」
「うそっ!そんな事まで!」
「皆さん、甘いわね、ショウくんはきっと、カズトくんに組み伏せられて、あんな事やこんな事を・・・」
どうやら重い病の子達にエサを与えたようだ、だがなぜかフユが会話に混ざっていた。
「倉田さん、子供達に何を吹き込んでいるんですか!」
危険な薫りが漂うフユを止めないととんでもないと事になりそうだと、ショウは止めようと声を出す。
「私は一般教養を教えているだけです。
小冊子に注意点として出てませんよ。」
「・・・倉田さん、その教養は一般向けじゃないですよ、認識を改めて下さい。」
「あら?乙女なら当然の嗜みよ。まあショウくんの顔を立てて、今はここまでにしましょう。
みんな、あとでお話しましょう。」
「「はーい。」」
フユはイキイキとした表情で離れていく。
ショウは自分が頼んだ異世界留学に後悔したのだった・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます