第452話 アキラの謝罪
「本来なら私が送るのですが・・・」
「ダメですよ、あなたは暫くの養生してもらいますから。」
横にいるサリナが許してくれなかった。
「妻の許しが出ないみたいなのでショウくんに船を任せてルクスの元に送ろうかと思いますが。」
「ショウさんですか・・・」
シリアはヨシノブが倒れている間のショウの雰囲気に怖いものを感じていた。
「おや、何か不都合がありましたか?」
俺はシリアの表情が曇った事が気になる。
「ええ、彼とは少しもめてしまいましたので・・・」
「なるほど・・・ですが彼以外に船を任せれる人がいないのです。」
俺は少し考えるが船の操艦ができ、指示を出せる人が他に思い当たらない。
リョウに任せてもいいが、婚約者を連れて来ている所に仕事を頼むのは気が引けるものがあった。
「いえ、不満があるわけでは無いので。」
「彼はいい子ですので、問題は無いと思うのですが何かあれば伝えてください。」
「はい、その時はお願いします。」
シリアはあらためて頭を下げる。
「ヨシノブさん、面会はこれぐらいで、シリアさん、主人は病み上がりですから、申し訳ないのですが・・・」
「は、はい、わかってます、これでお暇いたします。」
サリナは早々に対談を終わらせる。
「サリナ、わざわざ来てもらったのだからそんなに早く帰さなくても。」
「ヨシノブさん、無理はダメです。お仕事はそこまでにしてください。シモ、おとうさんにくっついちゃいなさい。」
「うにゅ、おとうさん、ぎゅ〜うなのよ」
シモはサリナに言われた途端俺に抱きついてきた。
「これじゃ何も出来ないか、シリアさん見ての通り家族が離してくれないみたいですので、対談はここまでで。」
「はい、失礼します。」
シリアは宿に帰っていく。
そして、サリナは俺の食事の準備をしに離れている時に何故か正座をさせられ、アキラに連れてこられたリョウがやってくる。
「リョウなにしてるの?」
「いや、爺さんに捕まって・・・」
「リョウ、ワシはそんなことを言えといったか?ちゃんと説明せんか。」
「・・・いえ、言っておりません。説明させてもらいます。」
「ちゃんと言わんか!」
「えー、えーと、ヨシノブすいません、ハルノブくんを一時的に日本に連れて行ってしまいました。」
「はい?どういうこと?ハルノブはまだ生後6ヶ月だよ!」
「実は・・・」
俺はリョウから事情を聞かされる。
「アキラさん!何をしているんですか!!」
「ふむ、ワシも少しは悪いと思っておる、じゃが結果お主を救うことになったのじゃ、そこを考慮してほしい。」
「・・・それを言われると助かった身としては何とも言えませんが、いいですか!ハルノブはまだ赤ちゃんなんです、少なくともサリナの許可をもらうかサリナか俺がいる時にしてください。」
「うむ、わかった。すまなかったな。」
珍しくアキラが反論せずに受け入れ謝罪したことに違和感をおぼえるのだった。
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