第430話 戻ると・・・

俺は最低限の建物と食料を用意したあと、急いでズムの街に戻っていた。


ズムの街に戻るとショウくんから留守の間の報告があった。

「なるほど、ジャブの方面に火口が出来たのか。」

「おとうさん、ごめんなさい。

向こうの騎士に捕まりそうになったので救助活動を行えませんでした。」

横でオットーが申し訳無さそうにしている。


「オットー、気にすることはないよ。

俺にとってお前たちが大事だからね。

ケガなくここにいるだけで充分だよ。」

「おとうさん・・・」

オットーは目に涙を溜めていた。


「オットーは泣き虫なのよ。」

「うるさいシモ、俺は泣いてなんかない。」

オットーは目を擦り涙を拭う。

「ほら二人とも喧嘩をしない。」

俺はシモとオットーの間に入る。

するとシモは俺の手を伝い背中に乗る。

「うにゅ、おんぶなのよ♪」

「シモの方が甘えん坊じゃないか!」

「女の子は甘え上手が大事って聞いたのよ。

だからシモはおとうさんに甘えていいのよ。」

「おとうさんの邪魔になるだろ、降りろよ!」

「降りないのよ♪ここはシモの特等席なのよ。」

シモは上機嫌で俺の背中に乗っていたが・・・


「おとうさん、大変です。

連邦とビザ家の境で戦闘が行われています。」

カルラがエーリッヒから受けた偵察の報告を俺に伝えてきた。


「こんな時に戦闘しているのか?」

「はい、そのようです。

ですが一部住民も巻き込まれているようで・・・」

俺は少し呆れていた、しかし、そのまま放置して一般人に被害が増えるのも良くないと思う。


「仕方ない、戦闘を止めにいくよ。

さあ、シモも降りて。」

「うにゅ・・・仕方ないのよ。」

シモは残念そうに俺の背中から降りるのだった。

「ショウくんはここで引き続き山の監視とみんなの安全を頼むよ。」

「わかりました。」

「シモ、オットーは俺と一緒に来てくれ。」

「わかったのよ。シモの居場所はおとうさんのそばなのよ。」

「僕もおとうさんの安全を守ります!」

「じゃあ向かうよ。」

俺はヘリを呼び出し、戦場へ急行するのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る