第409話 弟泣かせる奴は・・・

風呂からでたマックスはあらためてヨシノブ達が集まる部屋にやってきた。

既にルーズは城に戻っており、部屋には身内だけが集まっていた。


「カルラさん、いい風呂をありがとう。」

「私が用意したわけではないです、お礼ならおとうさんに言ってください。」

「ヨシノブ、ありがとう。」

「ああ、それはいいが少し声を落としてくれ、子供が寝ているんだ。」

ハルノブが寝ているのを起こさない為に俺達は別の部屋にうつる。


「ヨシノブあらためておめでとう。」

「マックスありがとう。しかし、ロンメルから聞いたが指揮をしなくていいのか?

外では部隊が戦っているのでは?」

「既に片付けに入っているから大丈夫だ、俺は屋敷の安否確認に来たのだ。」

「それはありがとう、おかげで無事だ。」

「俺達が来なくても大丈夫そうだがな。」

「今回は最初アキラさんが留守だったからね、少し苦戦したよ。」

俺とマックスが話している中、カルラがお茶を持ってくる。

「カルラさん、見てください。綺麗にしてきましたよ!」

「そうですね、これなら衛生的になったとおもいます。」

「ええ、ですので・・・その・・・」

マックスはモジモジしながら何かを言おうとするが・・・


赤ちゃんの泣き声が聞こえてくる。

「ハルくんが泣いてる、おとうさん少し行ってきます!」

マックスの言葉を聞くことなく、カルラはハルノブがいる部屋に向って走っていった。

よく見るとカルラだけでなくほとんどの女の子達が慌てるように駆けていく。

「おい、みんな走らなくても・・・って聞いてないな。」

俺は苦笑いを浮かべる。

どうやらハルノブを大事に思ってくれるのはみんな同じのようだった。


「ああ・・・カルラさん・・・」

マックスだけが悲痛の声を上げていた。


「マックスすまない、だけど暫くはみんな赤ちゃんにかかりきりになると思うぞ。」

「うう・・・折角風呂に入ったのに・・・」

どうやらマックスは変な期待をしていたようだった。

「付き合ってもいないのにそんな事をする子はいないからな。」

「・・・はっ!そうか!付き合えばいいんだな!」

マックスはいきなり大きな声を上げる。

「いきなりデカイ声を出すなよ。」

マックスの声に反応したのか、泣き止みそうだったハルノブの泣き声が再び大きくなった。


するとシモが怒った表情を浮かべて部屋に入ってくる。

「シモどうした?」

「成敗なのよ!」

シモは有無も言わせず、マックスの意識を刈り取る。


「シモ!何してるの!」

「ハルくんを泣かせる奴はお姉ちゃんがゆるさないのよ!」

慌てる俺にシモは当然の事のように言っていた。

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