第401話 平和な戦場
「おとうさん、やったのよ。成功なのよ♪」
ヤマタノオロチと互角の勝負をしていた竜が瞬殺されたことに俺達は固まっていた。
「うにゅ?勝ったのよ?褒めてほしいのよ・・・」
シモは俺の反応がないことに不安になったのか泣きそうな顔をしていた。
「ごめんね、シモが強すぎて驚いただけだよ。
さあ、おいで。」
俺が手を広げると嬉しそうに飛び込んでくる。
「うにゅ、強い子なのよ、だから頭を撫でてほしいのよ。」
シモは俺に抱きつきはなれなくなった。
「シモは強い子だけど、甘えん坊だね。」
俺は頭を撫でながら言うと。
「おとうさんに甘えるのはいいのよ。」
「シモ、甘えすぎておとさんの腕の中でお漏らしするなよ。」
抱っこされているシモをオットーがからかう。
「うるさいのよ、オットーのオットーくんが戦場の露と消えても事故で済むのよ。」
「済まねえよ!」
「済ますのよ、理解できたならおとうさんに甘える邪魔はしないのよ。」
シモは抱っこされたままオットーに悪態をつく。
まあ、実際にやらないと思っている俺としてはただのじゃれ合いとして流していた。
「おとうさん、ゴム弾がほしいのよ。」
「これかい?」
俺は殺傷能力の低いゴム弾を渡す、
「おとうさん!シモに渡さないで!」
オットーは慌てて止める。
「オットーいつでも狙い撃てるのよ。」
「シモ卑怯だぞ!」
「お口をチャックすればいいのよ、さもないとパウルのパウルくんを口に放り込むのよ。」
「何だよそれ!」
「何人か喜ぶと思うのよ。」
「誰も喜ばないよ!」
「はいはい、二人とも言い争いをしない、まだ戦闘は続いているからね。」
オットーとシモのじゃれ合いが続いてはいたがここは戦場、二人を少したしなめる。
「そうですね、シモあとで話し合いだぞ。」
「うにゅ?シモはおとうさんに甘えるのに忙しいのよ。オットーはパウルと遊べばいいと思うのよ。」
シモはあくまでも相手にしないつもりのようだった。
オットーはそこで話を止めて周囲の警戒に戻る。
幾ら周囲が味方に囲まれているとはいえ、戦場の危険性を思い出したようだ。
一方シモは全力で甘えているものの、刀のケンちゃんがうにょうにょしながら近寄る敵を串刺しにしており、勝手に始末をしているようだった。
「ヨシノブ、なんだその刀?」
リョウが不審そうな目で見るものの、俺にもよくわからない。
「さあ?元は聖剣だったそうだよ。」
「どう見ても邪悪な物に見えるけど。」
リョウの言葉に頷けるがシモの刀を邪悪と言うのも違うだろう。
「そんな事を言うなよ、シモの愛刀だぞ。」
「爺さんの刀に似ているんだが・・・」
「それは邪悪だな・・・」
俺はリョウに説得されてしまう。
俺達が平和に話している中でも鬼達は周りを駆逐しており、徐々に魔物は戦場からいなくなっていっていた。
そして、俺達はアキラと合流したのであった。
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