第390話 苦戦の報告が・・・

シモが倒せなかった話はすぐに屋敷にも伝わり、寝ていた俺の耳にも入った。

「ローザ、シモは無事なのかい?」

「おとうさん、休んでないと!」

「シモがやられて休んでなんていられないよ、それでシモの状態は?」

「はい、スジを痛めたようですが、既にポーションで治療は完了しています。

ですが、手も足も出なかった事が本人にはこたえているようで・・・」

「そうかい、なら俺も行かないとね。」

「おとうさん!ダメです。まだ休んでないと。」

「もう充分に休んだよ。俺にも意地があるからね、子供達を傷つけられて黙っていられないよ。」

俺は引き止めるローザを振り切り、再度前線に向う。


「おっ、ねぼすけ、起きたか?」

「リョウが不甲斐ないから寝てられなかったよ。」

「言うなよ、まさかシモちゃんが止められるとはね。」

現在、屋敷からの砲撃により魔物達を足止めしているが、状況は良くなっていなかった。


「魔物が尽きないね。」

「何かしらのチートか?また勇者が呼ばれたとかじゃないよな?」

「わからん、だけどこのままじゃジリ貧だからね。

何とかしないと・・・」

「じゃあどうする?向こうの戦力は中々手強いぞ。

特にシモちゃんとやり合った剣士は格が違うな。」

俺はシモがどうやってやられたか聞いていた。

「それって瞬間移動?」

「ヨシノブもそう思うか?俺もそうだと思うが、相手にすると厄介だな。」

「シモの剣速にも対応出来る腕前だろ?

チートじゃねえか。」

俺は頭を悩ませる。

普通に戦えば倒せる訳が無かった。


「・・・よし、俺が相手するか。」

俺は覚悟を決める。

「ヨシノブが相手にすることはないぞ、いざとなれば海に逃げたらいいだろ?」

「そうしたら王都はどうなる?

この街の人には世話になってるからね。

俺達が逃げたあとに滅ぼされるなんて耐えれないだろ?」

「はぁ、おまえ頑固だからな。

俺も付き合うよ。二人がかりなら何とかなるかも知れないだろ?」

「付きあわせて悪いな。」

「今度、1杯奢れよ。」

「最高の酒を出してやるよ。」


俺とリョウは再度前線に向かい歩んで行くのだった。

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