第389話 シモ吶喊・・・

「うにゅにゅ!どくのよ。邪魔なのよ。」

シモはまっすぐ魔力が大きい場所を目指して走っていた。

「ワルモノさんはきっと其処にいるのよ。」

快進撃を続けるシモの前にイゾウが立ちはだかる。

「うにゅ・・・強そうなのよ。」

シモはイゾウの雰囲気に足を止め警戒する。

「おじいさん其処をどくのよ!」

イゾウは何も言わず持っている剣下に下ろす。

シモもどいてくれるのかと見つめると、急に目の前にイゾウが現れた。


「ふにゅ!なんでなのよ!」

シモは襲いくるイゾウの剣を飛び退きつつ、刀で受け止める。


「ふにゅ、シモの間合いに入られたのよ、なんでなのよ?見えなかったのよ?」

シモの頭にはクエスチョンがつきまくっていた。

しかし、イゾウの攻撃は終わらない。

飛び退いた先にもイゾウは瞬時に現れ剣を振るう。

「はにゃ!追撃なのよ!」

シモは反射神経だけで剣を受け止める。


「つ、つよいのよ・・・」

シモは相手の強さに驚いているうえ、攻撃手段が見えない事に恐怖を覚える。


「なら、こちらからも行くのよ!奥義椿なのよ!」

シモは瞬時に間合いをつめ、奥義を放つも、当たる前にイゾウの姿は其処に無く、奥義を放ったあとの崩れた体勢のシモの横から剣で突きを放ってくる。

シモは無理矢理身体を転がし剣をかわすものの、無理に動かした為にスジを痛めてしまうのだった。


「うにゅ・・・いたいのよ・・・」

シモは少し涙目になる。

「にゅ〜〜〜よくもやったのよ。」

シモは体勢を整え、構えるが、其処にイゾウの姿は無く、後ろから斬られる。

反射神経だけでかわすことが出来ているが、劣勢な事はあきらかだった。


シモが劣勢な事に周囲に動揺が走る。


傍若無人なアキラと共に最強と思われていたシモが有効打を与えることなく、地面に転がっている姿は誰しも想像出来なかった。

「姫様を護り、一時後退だ!」

酒呑童子は即座に判断を下す。

鬼達は酒呑童子の命令の元、シモの周りに肉壁を形成して相手の不可解な移動に備える。

時折斬られる者が出るが、鬼の体力と防御力で耐え凌いでいた。


「撤退を援護するんだ!」

ヘルマンは子供達に指示を飛ばし、押し上げた戦線を後退させつつ、弾幕を張る。

シモ達が戦線を押し上げた際に防御陣の構築に成功していたのだ。


かくして、一進一退の元、初戦は痛み分けの状態となっていた。

しかし、シモが倒せなかった事により、士気は下っていたのだった・・・

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