第384話 シモ起動

敵の襲撃がある中、シモは動いていなかった。

苦しそうにするサリナから離れられなかったのだ。

「おかあさん、大丈夫なのよ?」

シモは心配そうにサリナの手をとる。

「大丈夫よ・・・」

サリナは苦しそうにしながらも泣きそうになっているシモの頭を撫でる。

「みんなの弟か妹が出てくるんだもの、おかあさんはがんばるわ。」

「おかあさん・・・」

シモは手をギュッと握る。


そんな中、ヨシノブが疲労で部屋に運ばれたと連絡が入る。

「ヨシノブさんが!」

「おかあさん、落ち着いて、大丈夫!大丈夫だから今はお産に集中して。」

リミはサリナに言って聞かすが、

「でも、今までこんな事はなかったわ、外で何が起きているの?」

「魔物が来ているだけです、少し気付くのが遅れて苦戦しるみたいだけど、今はリョウさんが押し返しているから大丈夫。」

リミは入ってきている情報を伝えてサリナを安心させようとする。


そして、カルラは、シモを一度外に連れ出す。

「シモちゃん、あなたは何をしているの?」

「うにゅ?シモはおかあさんが心配なのよ・・・」

「おかあさんは私達が何とかします!

シモちゃんは私達の最大戦力なんですよ、ここでおかあさんを見舞うより先にするべき事があるでしょう!」

「でも、でも、赤ちゃんの誕生に立ち会うのよ・・・」

「なら、さっさと敵を倒して来なさい!

おとうさんが無理をするぐらい戦況は厳しいのよ!あなたが戦わなくてどうするの!」

「うにゅ・・・」

「産まれてきた赤ちゃんにあなたが産まれてくる姿が見たいから、みんなを見捨てたっていうつもり!」

「にゃ!そんなの嫌なのよ!」

「なら何をするべきかわかるよね?」

「産まれてくる前に敵を皆殺しなのよ!」

「そうよ!敵を倒さなくてはおかあさんも心配で産めないでしょ!

さあ、早く行くの!」

「うにゅ!シモは赤ちゃんに誇れるお姉ちゃんになるために出撃するのよ!」

シモは外に駆け出していった。


「おっ、シモちゃん、遅い到着だな?

サリナさんの側にいなくていいのか?」

シモは前線のリョウまですぐにやってくる。

「誇れるお姉ちゃんになるために敵を皆殺しにするのよ。」

殺気に満ち溢れているシモにリョウは少し怖じける。

「シ、シモちゃん?」

「うにゅ、忙しい時に来た敵さんが悪いのよ・・・間に合わなかったら許さないのよ!!」

シモは刀を手に突撃していった。

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