第371話 朱雀確保!
旅から帰ってきたアキラが七輪を要求してきたので渡したのだが・・・
「すみません、すみません!どうかお許しを!」
「ワシの孫の血筋を疑うなど許される筈が無かろう。」
「止めて!もう言いませんから!シモ様は間違いなくアキラ様の孫でございます。」
翼をまな板に打ち付けられ調理される手前の鳥が命乞いをしていた。
「アキラさん、そちらの鳥は?」
「ヨシノブ、タレと塩どっちがよいか?」
「俺は塩ですかね。」
「ならば、塩でよいか。」
「って違います!会話出来る鳥を食べる気はありませんって!」
「なに、精がつくぞ。なにせ四獣の1体じゃからのぅ。」
「四獣って亀と同じ?」
「そうじゃ、じゃがコヤツは身の程もわきまえず、ワシとシモちゃんの血が繋がっておらんとぬかしおって、これから焼き鳥にするところなんじゃ。」
「・・・えっ、えーと、シモちゃんと血は繋がってませんよね?」
「知らん、調べたことは無いからのぅ、じゃが鳥如きに言われる話ではない。」
「シモ、アキラさんを止めてくれるかい?」
「うにゅ?焼き鳥なのよ?シモはネギを用意したのよ?
おとうさんに精をつけてもらうのよ?」
シモは既にネギを切って串を用意していた。
「この子を食べる気はないかな?」
「残念なのよ、おじいちゃん、その子の焼き鳥は中止になったのよ。」
「おお、シモちゃん可哀想に・・・ヨシノブ!好き嫌いせずに食べんか!」
「いや、そう言う話じゃないからね、えーと鳥さん開放するけどいいかな?」
「お願いします!あなただけが頼りです!」
俺は鳥をまな板から外す。
「これで自由だ!」
鳥は急いでこの場を離れようと空に飛び立つが、その前にアキラの剣圧で地面に叩きつけられる。
「誰が逃げてよいといったか?」
鳥はアキラの殺気を感じて震え上がる。
「わたくしに何か御用がおありですか?」
おそるおそる聞く鳥にアキラは・・・
「亀の背で暮らせ、逃げると今度こそ焼き鳥じゃ。」
「に、逃げませんからどうか焼鳥だけはご勘弁を!」
「うにゅ?亀さんの背中で暮らすのよ?ほうちゃん、鳥さんにルールを教えてあげてほしいのよ。」
シモは鳳凰を呼出した。
「なっ、えっ?なんで鳳凰がここに?」
「その魔力、朱雀か・・・その姿・・・哀れな。」
「鳳凰!言うに事欠いて哀れとは何だ!」
「ケンカはだめなのよ!鳥さんほうちゃんと争うならシモが相手になるのよ!」
「・・・こんな子供に何ができる。」
「あっ、バカ。やめろって!」
鳳凰は止めようとしたが時は既に遅かった。
シモの刀はあっさりと朱雀の翼を切り落とす。
「シモは強い子なのよ!
おじいちゃん、手羽先を作ってほしいのよ♪」
「ぎ、ぎゃくたい反対・・・・」
朱雀は怯えながら抗議する。
「シモそれぐらいにしてあげなさい。」
俺は可哀想になりシモを止めるが、
「おとうさん、食事をするというのは命を頂くことなのよ。
だから、普段食べる唐揚げと何も違うことはないのよ。」
「言われてみるとそうなのか?」
逆にシモに説得されるのだった。
「説得されないでください!お願いです、もう逆らいませんから、命だけは・・・」
朱雀は涙を流しながら俺にすがってくる。
少し悩んでいるうちにシモは唐揚げの準備も始めているのだった・・・
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