第350話 愚痴をこぼすリーナ
「横暴です、これはリズ姉さまの横暴行為ですぅ〜」
ルーズ王との面談が終わったあと、何故かリーナが一緒に屋敷に帰ってきて不満を口にしていた。
「まぁまぁ、リーナさんはもう少し大きくならないと、公務には出れないでしょう。」
「うー、それでもです。リズ姉さまだけ、美味しい物を食べる気ですよ!」
リーナは悔しそうに机をバンバン叩く。
「リーナはまだ子供なのよ。だから仕方ないのよ。」
リーナの背中をシモが擦る。
「シモちゃんもまだ子供ですよね!」
「だから、おとうさんとおかあさんの二人に甘えてるのよ。
リーナも甘えてくるといいのよ。」
リーナはふと考えて・・・
なぜか俺の方に両手を広げて駆け寄ってくる。
「おとうさんの子になります♪」
しかし、シモが襟を掴む。
「リーナ何を考えているのよ、おとうさんはシモのおとうさんなのよ、リーナにはルーズがいるからそっちに甘えるべきなのよ。」
「あぅぅぅ、あわよくば連れて行ってもらえると思いましたのに・・・・」
「だめなのよ。」
リーナとシモのやり取りを微笑ましく俺達は見ていた。
しかし、リーナはすぐにいなくなると思っているようだが実際の移動はもう少し先になる。
サリナの出産が終わるまでは長距離の移動を避けようと考えているのだ。
その為にまだ引っ越しの準備もしてないのだが、リーナは気付いていないようだった。
「はい、リーナさん、ケーキを食べて元気を出してくださいね。」
サリナがリーナの為にケーキとお茶を持ってくる。
横でカルラが心配しながらアワアワと様子を見ていた。
「ありがとうございます。はぁ、このケーキが食べれるのももう少しで終わるのですね。」
リーナは悲しそうに少しずつ味わっているが、
「あら?引っ越しはまだ何ヶ月も先ですよ。
私の出産が終わるまでは滞在させてもらいますので。」
「ふにゅ?ななな、なんで皆さん教えてくれないのですか!」
リーナは顔をキョロキョロさせるがみんなの温かい眼差しがあった。
「うー皆さんひどいですよ。私もおこっちゃいますからね!」
リーナはプンプンとしているのだが、仕草が可愛く、微笑ましく眺めていた。
「リーナ、何をはしたない事をしているのかな?」
一人頭を抱えていたのはルクスであった。
「お。お兄様いつからいたのですか?」
「そうだな、最初からいたかな。」
「・・・あはは、シモちゃん向こうでお話しましょう。」
「うにゅ?お話なのよ?なら勇者のお話の続きが聞きたいのよ。
魔族をみじん切りにして炒める所からお願いするのよ。」
シモは勇者アキの伝説をリーナから聞いていた。
「うん、じゃあ向こうのお部屋に行きましょう。」
リーナはシモを連れて部屋を出ようとする。
明らかにルクスから逃げる気だった。
「リーナ、どこに行く気かな?まだ、お説教は始まってもないよ。」
「勇者シモちゃん、お姫様の前に立ちはだかる悪い魔王を倒すのだ!」
「うにゅ!勇者ごっこが始まったのよ!
魔王ルクスを成敗するのよ!」
リーナの掛け声にシモが反応して、木刀を片手に勇ましく宣言する。
「ちょ!ちょっと待て、シモちゃん。木刀は不味い!」
「問答無用なのよ!勇者の前に立つものは斬り刻まれる運命から逃れられないのよ!」
シモに追いかけ回され全力で逃げるルクスの姿が展開されていた。
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