第329話 屋敷に帰る
「・・・なにこれ?」
俺がマインズ王国の屋敷に帰ると屋敷が騎士団に囲まれ、何故か野営地が出来ていた。
「ヨシノブ帰ったか!」
「マックス、これはどういう状況なんだ?」
「お前が留守で緊急事態になっていると聞いたからな、第二騎士団を出動して警護にあたらしたのだが・・・」
「だが、なんだよ、どう見ても第二騎士団だけじゃないよな?」
俺が見る限り、3つの騎士団の旗が見える。
「何故か第三、第四騎士団まで、野営訓練と称してヨシノブの屋敷周辺に待機しやがったんだ。」
「なんでだよ!」
「それがな、どうやらお前の屋敷から提供される食事が美味いと評判になってしまい、警護したら食べれると聞いた第三、第四の奴らが無理矢理やって来たんだ。」
「無理矢理っていうけど、お前もじゃないのか?」
「俺は最初にカルラさんに挨拶をしている!」
「挨拶したらいいという話じゃない気もするが、マックス、各騎士団の代表を連れて屋敷に来てもらっていいか?
簡単になるが留守を守ってもらった礼がしたい。」
「わかった、すぐに伝えてくる。」
マックスは急ぎ各騎士団に伝令を走らせる。
俺はその間に屋敷に入り、事情を聞くのだった。
「なるほど、訪ねてきたマックスに伝えたのが始まりか。」
「おとうさんごめんなさい、まさかこんな事になるなんて。」
「カルラは悪くないよ、それにマックスも心配しての行動だからね。
さて事情がわかったところで、
これから騎士団の団長さんが屋敷に来る。
うちの家として彼らを接待するよ、みんなも疲れていると思うけど、もうひと踏ん張り頑張ってくれるかな?」
「「「はい!!」」」
俺は減っていた食材を呼び出し、料理人として地球の料理修行をしているウィスラー(12歳)とラウエ(12歳)に声をかける。
「二人の料理は最高に美味しい、今日も頑張ってくれるかな?」
「任せてください、おとうさん。」
「私、がんばるから、後で褒めてくれる?」
「もちろんだよ、後でじゃなくて今褒めてあげる、留守中も沢山料理作ってくれたんだよな。 いい子だぞ〜」
俺は二人の頭を撫で回す。
「俺はいいよ。」
ウィスラーは嬉しそうにしながらも男として恥ずかしいお年頃なのか少し拒絶するが、
「おとうさん、気持ちいいの〜」
逆に女の子のラウエは嬉しそうな表情を浮かべ喜んでいた。
「ウィスラーはいいのかい?じゃあラウエに両手で撫でてあげよう。」
「やった〜」
「ちょ!ちょっと、おとうさん。」
撫でる手が離れるのをウィスラーは寂しがる。
「冗談だよ、二人共頑張ってくれているからね。
今日も最高のご飯を食べさせてもらえるかな?」
「「はい!!」」
料理担当の二人の気合はマックスまで高まっていた。
次に接客をする、リミ、カルラ、ローザに合う。
「みんなも大丈夫かな?」
この三人は子供達の中でも作法かちゃんと出来ているので相手が貴族でも無難に立ち回れると判断して選んでいた。
「大丈夫です。」
「おとうさんに恥をかかせないようにしますね。」
「任せてください。」
俺は三人の頭を撫で、
「リミ、カルラ、留守中よく頑張ってくれたね。二人の頑張りで屋敷の面子は保たれたと言っても過言じゃないよ。」
「そんな、私は出来る事をしただけで・・・」
「そうです、おとうさんとおかあさんの為に頑張ったの。」
「ローザは俺達に着いてきて、大変だっただろ?
今回は戦闘もあったからね、しんどいなら代わってもいいんだよ?」
「大丈夫です!貴族の接客ぐらい簡単なものです。
せっかくおとうさんが選んでくれたのに断るなんて出来ませんし、したくありません。」
「三人とも、大変だけど頑張ろうね。」
「「「はい!」」」
俺はみんなに声をかけていくと、リョウが目に入る。
「リョウ、留守中ありがとな。」
「たいしたことないさ。」
俺とリョウは拳を合わせる。
「あとは引き受けるから、爺さんを頼む。」
「・・・なんで帰ってきた!さっさと連れて出掛けてこい。」
「やだよ!戦闘はもうコリゴリだ、荒事はリョウに任せるよ。」
「戦闘はいい、任されよう。
だが爺ちゃんは駄目だ。」
「お前の爺さんなんだから責任持てよ、あの爺さんシモを本当の孫と勘違いする程ボケてるぞ。」
「なら、そのままにしろよ、そうすればお前が息子だろ?
丁度いいじゃねえか。」
「ボケジジイを引き取れと言っているんだよ!」
「耄碌ジジイをやるって言うのがわからんのか!」
俺とリョウは睨み合う。
「ほほぅ、お前達楽しそうな話をしておるな・・・」
二人の会話に割り込むようにアキラが現れる。
「「ゲッ・・・」」
「今は忙しそうじゃからのぅ、二人仲良く、明日みっちりシゴイてやろう。」
「ま、孫のリョウだけでいいのでは?」
「新規でムスコになった、ヨシノブだけが希望かな?」
「二人共じゃ!!ワシをボケジジイ扱いした事を後悔させてやる!」
俺とリョウは仲良く地獄行きが決まった瞬間だった。
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