第302話 サリナに叱られる。

歓迎会が終わり、落ち着いて来た頃、シモはサリナに呼び出されていた。


「おかあさん、なんなのよ?」

「シモこっちに来てくれる?」

「はいなのよ♪」

シモはサリナの膝の上に座る。

日本にいった時から望んでもたどり着けなかった膝の上にやっと辿り着けた嬉しさにシモは笑顔になっていた。


「シモ、私は少し厳しい事を言うけどいいかしら?」

「うにゅ?なに、おかあさん?」

「シモは人に優しくしてきた?」

「してきたのよ、アズ姉もリナも仲良くなったのよ!ほらタマも一緒にがんばったのよ。」

一緒に来ていたタマを持ち上げる。


「うん、仲良くなった子達はいいの、でも、関係ないからと言ってシモから攻撃したことはない?」

「うにゅ?」

「何もしてない無関係の人に襲いかかるのは悪い事だって、わからないかな?」

シモは身に覚えがあり、少し冷や汗が流れる。


「お、おかあさん・・・でもね、シモは帰る為にね・・・」

「帰る為に必要なら仕方ないと思うの、でも、他の道を考えなかった?

リョウさんに相談したのかな?」

「おじいちゃんに相談したのよ!」


「お父さんは誰の言うことを聞くようにいったのかな?」

「・・・リョウ兄なのよ。」


「そうね、シモはまだ子供だから、判断はリョウさんにお願いしてたのに、シモはおとうさんの言いつけを破ったの?」

「・・・ごめんなさいなのよ、でも、おじいちゃんの言いつけは守ったのよ!」

「そうね、それじゃシモはおじいちゃんの子になるの?」


「にゅ!!ちがうのよ!シモはおとうさんとおかあさんの子なのよ!」

「それなら、お父さんとお母さんの言いつけを守ってくれるかな?」

「守るのよ!」


「シモは子供達の中で一番強くなってるの、

でもね、その力の使い方を間違ったら色んな人に恨まれて、シモの手の届かない所で家族に被害が出るかも知れないの。

今はお父さん達の言葉に従っていたらいいけど、いずれはシモが自身で決めるようになるのよ。

その時の為に何が正しくて何が悪いか、シモ自身で見つけて行きましょう。」


「がんばるのよ・・・」

「シモ・・・シモには一番強いお姉さんとして、この子を守って、導いてもらわないといけないから・・・」

サリナは落ち込むシモの頭を撫でたあと、自分のお腹を擦る。


「うにゅ!もしかして、赤ちゃんなのよ!」

「まだ、あまり大きくないけどね・・・

シモはこの子に恥ずかしくないお姉さんになれるかな?」

「なるのよ!シモはおねえちゃんなのよ!」

「なら、頑張れるよね?」

「はいなのよ!」

サリナの注意を受け、シモは反省したあと、自立心が目覚める。


ヨシノブとサリナの子供の為に、自分の妹の為にも大人になろうと心に誓うのだった。

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