第284話 決着!
「なに!俺の身体にキズが!」
「うにゅ!斬れ始めたのよ!」
「おかしい・・・その刀、妖刀か!」
「違うのよ、シモが作った刀なのよ。」
「そのような禍々しい物を人が作れる筈がないであろう!」
「禍々しくないのよ、うにゅにゅしたり、ちょっと鉱物を盗み食いするけど、いい子なのよ。」
「何処の刀が鉱物を盗み食いするか!」
「この子なのよ!」
喋りながらも刀は孫の身体と魔力を喰らい自身の力としていく。
「いくのよ!桐谷流、秘伝、桜花一閃なのよ!」
それまで多数飛び交っていた剣閃が纏まり、一気に襲いかかる。
「くっ!」
孫の反応より早く刀は孫の首元に・・・
そして、寸前で止まる。
「シモの勝ちなのよ♪」
「・・・殺らないのか?」
「うにゅ?シモはおサルさんと友達になりたいだけなのよ。」
「あーわかった、負けたよ、その友達になってやる。
それと俺は孫悟空だ、普通の猿と一緒にするな。」
「なら、お団子を食べるのよ。」
「聞いてないな、って団子?まあくれるならもらうが。」
孫は団子を食べる。
「これで揃ったのよ!!」
「きゅー!」
シモとタマは嬉しそうに手をあげる。
「揃ったって何が?」
「犬さん、鳥さん、猿さんを連れて鬼ヶ島に行って、鯛やヒラメが舞い踊るのよ♪」
「なんだそれ?」
「昔話なのよ。」
「それ何か違ってないか?」
孫が首をかしげるがシモは気にもせずアズサの元に駆けていく。
「アズねぇー鬼ヶ島って何処なのよ?」
「鬼ヶ島ですか?」
「そうなのよ、鯛やヒラメが舞い踊るっている所なのよ、シモも見てみたいのよ。」
「それは竜宮城じゃないかな?」
「竜宮城?ちがうのよ?」
「うん、ちょっと違うかな、昔話が混ざっちゃったのかな?」
「ガーンなのよ、間違っていたのよ!」
シモは肩を落としてトボトボと孫の所に帰ってきて、言いにくそうに3人に伝える。
「タマ、ほうちゃん、孫ちゃん残念なのよ、鬼ヶ島で鯛やヒラメが舞い踊っていないのよ。」
「きゅー・・・」
「主よ気を落とされず・・・」
タマと鳳凰はシモを慰めようとするが・・・
「いや、別に行きたくないし、そもそもその為に俺達集めたのか?」
「そうなのよ、孫ちゃん残念なのよ。」
「俺はいいんだが、まあ落ち込むなよ。」
落ち込むシモに気の毒になり孫も優しい言葉をかける。
「鬼さん来るのよ・・・」
シモは酒呑童子を呼ぶ、
「主よ、如何になされた。」
「鬼ヶ島で鯛やヒラメが踊っていないのよ。」
「はあ、何の話でしょうか?」
「鬼さんが金銀財宝に埋もれて鯛やヒラメが踊っている場所の事なのよ。
ご本にのっていたのよ。」
シモは絵本を見せてくる。
「このような場所ではないのですが、鬼の住む所ならありますよ。」
「うにゅ、鬼さんが住んでいるの?」
「ええ、我等を含め、多くの鬼が住んでいるところがございます。」
「行ってみたいのよ!」
「ですが、普通は行けない場所なのです。
黄泉比良坂を抜けた先の根の国にあるのです。」
「ふにゃ、いけないのよ?」
「残念ですが、異界の門が閉ざされておりますれば。
人の身体で越えることは難しいかと・・・」
「残念なのよ・・・」
シモがしょんぼりするのを鬼である酒呑童子があやしていた。
「鬼も仲間かよ・・・」
孫悟空は呆れたようにシモをながめるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます