第281話 マックスと家臣

「マックス様、お考え直しを!」

マックスが女性に興味を持ったことに家臣一堂最初は喜んでいた。

しかし、話を聞くと事情が変わる。

まさか、12歳の少女だとは思ってもみなかった。

その為、家臣は口を揃えて反対を表明するが・・・


「なんだ、お前達はいつも言っていたであろう、なのに何故俺が、女性に興味を持つと止めるのだ!」

「女性に興味を持たれるのはよろしい事です。

ですが、相手が少女と言うのは・・・」

「何が問題ある、素晴らしい女性だぞ!」

「ですが、歳の差が・・・それに陛下もヨシノブ殿への手出しは禁止されております。

どうかご再考を!」

「ヨシノブからも許可を取ってある、カルラさんが良いといえばいいのだ。」

「くっ、こうなれば致し方ない、マックス様が乱心なされた皆の者、マックス様を取り押さえろ。暫し領地に隔離するぞ!」

「やれると思っているのか!この謀反者共が!何故主君の恋路を応援出来ん!」

「黙れロリコン!主君が幼女に走るのを止めるのも忠義の証!者共かかれ!」

「「うおぉぉぉぉぉ!!」」

主君と家臣の殴り合いが始まる。


2時間後

最後に立っていたのはマックスと執事ジョンだった。

「ジョン、あとはお前だけだな・・・」

「無駄に体力がある・・・ですが、私も負ける訳にはいかない、亡くなられた先代の名誉と御恩の為にもマックス様を真っ当な道に戻さなければならないのです!」


「ジョンには昔から世話になったな・・・だが、教育係のお前を超える事で1人前の証としようではないか!」

マックスは最後の気力を振り絞る。

自身を子供の頃から鍛え、支えてくれたジョンを今日こそ超えるのだ!


「言うようになりましたね・・・小僧に負けるほど耄碌しておりませんぞ!」

ジョンも最大の気力をもって迎えうつ。


両者の最後の攻撃はお互いの信念をかけた一撃だった。

互いの拳はクロスし両者の顔にヒットする。

「お見事です・・・マックスさま・・・」

「ジョン・・・さすがだ・・・」

互いが意識を失う形で決着がつく。


「おーい、誰かいないのか?」

俺はカルラを助けてもらった礼を言いにマックス邸を訪れていた。

もちろんあらかじめ使者を出して訪ねることを伝えているのだが、屋敷には警備兵もおらず、静まり返っていた。


俺は何かあったのかと屋敷内に突入するとそこには多くの兵が意識を失い倒れており、その中にはマックスもいた。

「カルラ、ローザみんなの手当を頼む、パウル、オットーは周辺を警戒してくれ。俺はカルラとローザの護衛をする。」

何者かに倒されたかは知らないが、敵が潜んでいる可能性もある。

俺は最大限に警戒しながら、全員にポーションを配り、キズを治していく。

カルラやローザに膝枕をされつつ、ポーションを飲む者の中には熱っぽい瞳で二人を見つめる者もいた。


「マックス、何があったんだ?」

俺はカルラのポーションで意識が回復したマックスに事情を聞く。

顔が赤いのはポーションが効きすぎたのだろうか?


「いや、家臣と話し合いをしていただけだ。」

「話し合いって、物理かよ。」

「我が家では、これがしきたりなのだ。」

「嫌なしきたりだが、敵に襲われたのでないなら良かった、勝手に入ってすまない。」

「いや、助かったよ、まさか全員意識を失うとは思わなかった。」

「加減しろよ。」


「面目ない、それで何用だ?」

「カルラとローザを助けてもらった礼に来たんだよ。まさかこんな事になってると思わなかったからな。」

「それは丁寧に・・・・って、そこ!いつまでカルラさんの手を握っている!さっさと離さんか!」

マックスはカルラの手を強く握る兵士を怒鳴り散らす。


「マックス様、この方は意識を回復なされたばかりなのですから強く言われてはいけません。」

「あっ、これは、その・・・当家では普通の習慣でありまして・・・」

カルラに叱咤され、マックスはしどろもどろになる。

「あーカルラ、別の家には別のしきたりがあるからね、そこを責めるのはやめようかな。」

「おとうさんがそう言うならそうなんですね。

マックス様、申し訳ありません。出過ぎた真似を致しました。」

「いや、出過ぎた何てそんな事はない、私が間違っていたらいつでも伝えて欲しい。」

「それではなるべくお伝えするように努力いたしますね。」

カルラの明らかな社交辞令にマックスは嬉しそうにしていたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る