第267話 ルーデル、力を求める

マインズ王国についてもルーデルは落ち込んでいた。

目を閉じれば、こんごうが沈んでいく様子が浮かび上がる。

今回はヨシノブが怪我なく脱出できたから良かったものの、実際こんごうの艦橋に当たっていたら、今頃どうなっていたか・・・


くそっ!自分にもっと力があれば、あのゴミを一瞬で消せる力があれば・・・


「ルーデル、少しいいか?」

悩むルーデルの元にハーンがやって来る。

彼は魔力の研究を主にしており、今回の敗戦により、攻撃性を上げることを考えていた。


「なんだハーン、俺は今考え事で忙しいんだ、後にしろよ。」

「いや、お前の悩みと関係有る話だ、聞いてくれないか?」

「ほう・・・というと?」

「爆弾の威力が上がる方法だ。」

「詳しく聞かせろ!」

「落ち着け、まだ、実験段階なのだが、現在魔力を爆弾に込めて威力を上げているな。」

「ああ、既に俺が注げる限界まで込めたがあの船を沈めれなかった。」

ルーデルの表情は暗い。


「そこで新たな理論になるが、簡単に説明するぞ。

一先ず魔力を粒と考えてくれ、そして、その粒を爆弾内にて循環させるんだ。」

「循環?」

「ああ、循環させながら加速させていくんだ。どんどん加速が早くなる粒は動きを増していく。

そして、爆弾の爆発の影響で高速で動く粒はぶつかり合い、粒が弾かれ・・・」

ハーンは握った手を開き爆発をイメージさせる。


「どれぐらい威力が上がるんだ?」

「理論上は十倍以上になる筈だ、込める魔力にもよるが・・・」

「それはいい、すぐに試作するぞ!」

「そう言うと思って設計図は書いてきた、これを図工クラブに持っていくぞ。」

「わかった!」

ルーデルとハーンは図工クラブに持っていく。


「なになに?新型爆弾?・・・ふむ、たしかにこれは必要かも。」

図工クラブ長、アルベルトが設計図を見て納得する。


「どうだ?作ってくれるか!」

「勿論引き受けた。」

「頼むぞ、早く作ってくれ!」

「落ち着け、実験もいるからな1ヶ月は見てくれ。」


「時間がかかりすぎだ、せめて2週間!」

「ルーデル、無茶を言うなよ。」

「無茶じゃない!敵がいつ来るかわからないんだ、今から備えをする必要がある。

今度はおとうさんの船を沈ます訳にはいかないんだ!」

ルーデルの魂の訴えはアルベルトにも伝わる。


「・・・わかった、おい、野郎ども!聞こえたな!

2週間で完成させるぞ!」

「へい、頭!やりましょうぜ。」

図工クラブの面子はすぐさま作業に取り掛かるのだった。

「ハーン、お前も頭を貸せ!ルーデルお前は魔力を供給しろ、無理を言ったんだから、お前達も付き合ってもらうぞ!」


「望むところだ!」

ルーデル、ハーンも全面協力の元に軍備を進めていくのだった。

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