第261話 交戦
サリナに逃げる指示を出したあと、すぐ後に基地に向かい敵の一斉砲撃が始まる。
「やらせるか!これでも喰らえ!」
俺は、飛んでくる弾を20㎜機関砲で迎撃しつつ、敵先頭の金剛及び、艦隊の動きを止めるためにハープーンを一斉射、各敵艦船尾に向けて撃つ。
「敵艦に被弾を確認、3隻大破動きが止まりました!
いえ、砲撃は止みません!」
「くそっ!まだやる気なのか。」
「おとうさん、敵の砲撃中和出来ません!」
「取舵一杯、機関最大、緊急回避だ!」
俺はこんごうを動かし、全力の回避運動をとる。
迎撃出来なかった何発かがこんごうの近くに着弾する。
「主砲、敵砲塔に発射!」
俺はこんごうの主砲を金剛に向けて放つ。
「命中を確認、敵第一砲塔沈黙、しかし、その他の艦隊からの砲撃やまず、このままだと、被弾しま・・・」
オットーの報告の途中で敵の弾を喰らい振動が艦に走る。
「右舷被弾!浸水を確認!」
「くっ!」
こんごうには俺一人で操作出来ることもあり、俺と警護のパウル、オットーしか乗っていなかった、その為、浸水が起きたときに対処が出来ない。
「人が足りないとこんな支障があったか。」
俺が後悔する間もなく、浸水により速力が落ちたこんごうは敵の的になるのだった。
「パウル、オットー退艦用意。」
「おとうさん!」
「なに、この船が沈むだけだ、それにまだ終わってない!」
「僕達が逃げるなら、おとうさんも避難を!」
「今逃げたら後ろのみんなの被害が大きくなる!ここで一踏ん張りする。」
「なら、僕達も残って、おとうさんの身を守ります。」
「なら、逃げる時は一緒に行くか。」
「はい!」
俺は砲撃を迎撃しつつ、敵に攻撃を仕掛けて注意を引く!
しかし、こんごうの足は止まりつつあった・・・
一方空では・・・
「こんごうがやられてる、おとうさんを助けないと!」
エーリヒとロタールが助ける為に動こうとするが・・・
「なんだこの飛行機は!」
空母の赤城、加賀から数百のゼロ戦が飛び立ち、エーリヒの前にたちはだかる。
「どけよ!」
エーリヒが機関砲で蹴散らすも、数が多すぎる。
こんごうの援護に駆け付ける事が出来ない。
そんな中、こんごうが被弾する。
「ああ!おとうさんによくも!」
エーリヒは強行突破して敵艦長門に近付き、ミサイルを撃ち込む。
船底を破壊して浸水を確認出来るが、他の艦の攻撃に遮られ、後退を余儀なくされる。
「エーリヒ、無理をするな!撃ち落とされるぞ!」
ロタールは無理をするエーリヒを注意する。
「でも、おとうさんが!」
「大丈夫、まだ、こんごうは動いているし、パウルから連絡がきた、おとうさんはおかあさん達が逃げる時間を稼いでいるみたいだ。」
「なら、僕達も!」
「駄目だよ、もう弾も燃料も少ないだろ、一度いずもに帰投する。」
「くっ!この状況でか!」
「俺達が撃ち落とされる事をおとうさんもおかあさんも望んでいないよ。
一度帰って、もう一度来るよ。」
ロタールはエーリヒを諭しながらも悔しさを滲ませていた。
「エーリヒ、ロタールはさっさと帰って牛乳を飲むんだな。」
「ルーデル!」
「ここは俺が引き受ける、お前達は補給してこいよ。」
「・・・わかった、ルーデル任したよ。」 「任された。」
エーリヒ、ロタールは一時退却するのだった。
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