第256話 警察官到着!

「何かありましたか?」

警察官はユウキに確認する。

「何かあったかじゃない!私の子供がこの爺さんと子供に斬られたんだ!」

警察官はアキラとシモを見る。


「・・・失礼ですがアキラ氏ですか?」

「そうじゃ、桐谷アキラじゃ。」

「失礼しました!」

警察官は敬礼をして離れる。

そして、ユウキの元へ。


「警察官はアキラ不介入ですので、個人で対処をお願いします。

救急車をお呼びしておきます。」


「なっ!何を言っているんだ!明らかに犯罪者だろ!さっさと捕まえろ、それでも警察官か!」

「ですから、アキラ不介入なんです。

捕まえようとして捕まえれるならもう捕まえてますよ。」

「そんな事で市民が守れるのか!」

「わかります。言いたい事は充分理解してます。ですが、我々も生きて帰りたいのです。

どうかお許しを・・・」

「お前達じゃ話にならない、お前達で無理なら機動隊でも自衛隊でも呼べよ!」

「ですから、それも無理なんです。

残念ですが・・・

理由はわかりませんが命乞いをした方が宜しいかと・・・

あっ、いえ、これは一般論です。

決してこうしろと言う訳ではありません。

我々は不介入なのですから。」

警察官はどこまでも関わりたくないようだった。


「なんじゃ来ても良いのじゃぞ?」

「ご、ご冗談を、我々はアキラ氏と敵対するつもりはありません。」

「ということじゃな、タケフミの親とやら右腕を置いていくがよい。」

「い、いやだ!何で腕を斬られないといけないんだ!」

ユウキはその場から逃げ出した。


「逃がさないのよ。」

シモは無慈悲に右腕を斬り落とした。

「ぎゃあぁぁぁぁ!」


「峰打ちなのよ、死にはしないのよ。」

「シモちゃんや、峰打ちは刃の裏で斬るのじゃぞ?」

「そうなの?この前、テレビで見たから、言ってみたかったのよ。」

「言ってみたかったのなら仕方ないのぅ、そこのお巡りさんや、ゴミの片付けを任せて良いかのぅ?」

「はっ!承りました。救急車もじきに来ると思いますので問題ありません。」

警察官の二人は目にうつらない早さで腕を斬り落とした幼女に恐怖を覚えていた。

もし、あの刀が自分に向いたら・・・

二人は敬礼するも、全身が震えていた。


「震えずともよいぞ、敵対せねば斬りはせぬからのぅ~」

アキラが軽く笑うが、言い換えれば敵対すれば斬ると言うことだった。


「そこのポリ公、さっさとジジイとガキを捕まえろよ!」

タケフミが騒ぐも、警察官が動けなかった、それどころか逃げるように立ち去っていった。


「使えねぇなぁ、おいガキ!この事をヨシノブが知ったら怒られるんじゃないか!

俺はマイの兄だぞ、あのお人好しなら、こんな真似許さないだろ!」

「うにゅ!シモが怒られのよ?」

シモはヨシノブに怒られるというキーワードに反応する。


「ああ、怒られるね!俺を斬っていいって言ってたのか?

言ってないよな?

たまたま会っただけなんだからな!

それにそこにいるのはマイの親父だぞ、その腕を斬っていいのか?」

「うにゅ・・・」

シモは目に見えて元気がなくなってくる、自分の中で正しかったのか考え出したのだ。

すると、ヨシノブに怒られる自分を想像して涙が出てきた・・・


「おじいちゃん、シモおこられちゃうのよ?」

シモは目に一杯の涙をためてアキラにしがみつく。

「おお、可哀想に・・・だいじょうぶじゃ、このじいちゃんに任せなさい。」

「おじいちゃんがなんとかしてくれるのよ?」

「そうじゃ、ワシがなんとでもしてやろう、さぁシモちゃんはちょっとアズサさんの所に行っといで、その間に片付けておこう。」

「わかったのよ、アズ姉ちゃん!」

シモは車から降りてきていたアズサの元に駆け寄り、泣きながらアズサにしがみつく。

「あのね、シモね、どうしたらいいのか、わからなくなったのよ、う、うにやぁぁぁぁぁ・・・」


アキラはシモの涙に怒りが込み上げてくる。

「アズサさんや、ちょっとシモちゃんを楽しい所に連れて行ってくれるかのぅ。」


「わかりました。そうだ、シモちゃん動物園でも行こうかな?」

「どうぶつえん?」

シモは初めて聞く場所に瞳に涙をためたまま、聞き返す。


「可愛い動物が沢山いるところよ。モフモフしてて可愛いわよ。」

「うにゅ?可愛い動物?モフモフなのよ?シモ行ってみたいのよ?」

シモの興味がタケフミから動物にかわる。


「じゃあ、向かいましょう。

あとの事は全部、アキラお爺ちゃんが終わらせてくれますから。」

シモはアキラに向かって叫ぶ。


「おじいちゃん、お願いしますのよ。

シモはアズ姉と一緒に可愛い動物とモフモフなのよ〜」

一先ず泣き止んだシモにアキラは安堵する。


「おお、行っといで、リョウの奴も向かわせるからのぅ、楽しんでおいで。」

「行ってきますのよ〜」

シモはアズサに手を引かれこの場から立ち去るのだった。

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