第252話 野党が来る。
「なるほど、交渉は難航しているか。」
「はい、リョウ氏が抵抗を見せていまして。
何か交渉材料があれば・・・」
「加持くん、いらない事はしない方がいい。
彼は金銭や他の条件で友人を売るタイプじゃない、交渉するなら誠意を持つべきだ。
私が直接話に行こう。」
「宮木総理が直に行く必要など・・・」
「そうは言っても、ここはヨシノブさんに恩を売っておいて、協力関係を作っておきたい。」
「わかりました、面会出来るように手配しておきます。」
加持は宮木が望むようにリョウとの面会を手配するが・・・
野党の一部がその動きを察知し、先手をうつ・・・
その頃、シモはリョウの義理の妹リナ(12歳)と一緒に喫茶店に来ていた。
年も近く、同じ天才スナイパー同士意気投合していたのだった。
「シモ、これおいしい。」
リナは自分がおすすめのイチゴパフェをすすめる。
「美味しいのよ、リナもこっちを食べるのよ。」
シモは自分が食べていたチョコレートパフェをさすだし。
「おいしい。」
甲乙つけがたい二人の美少女が食べさせ合っている姿は微笑ましくもあり、思わず二度見するような美しさもあった。
そこに無粋なおっさん・・・もとい野党の第一党の幹事長、木野作造がやって来る。
「君がヨシノブとやらの娘かね?」
「誰なのよ?」
「私は・・・そうだな、子供にもわかりやすく言うとこの国の偉い人なんだよ。」
「そのエロい人が何なのよ?」
シモは首を傾げて聞く。
「エロいじゃない!偉い人だ!」
しかし、返事が気に入らないのか木野は怒って反論する。
「自分で偉いという人にマトモな人はいない、シモ相手にしなくていい。」
「なるほどなのよ!リナは賢いのよ、そこのエロい人、シモは用事がないから帰ってください!」
「そう、エロい人は通報すべき。店員さん、ここに少女に声をかけるエロい人がいます。」
リナはあっさり手を上げ、店員を呼ぶ。
しかし、店員は木野の顔を知っており、通報するか迷っている。
「使えない店員、仕方ない、電話するか。」
リナが電話をしようとすると木野が止めてくる。
「や、やめたまえ!ここに来たのは話があるからだ、決して君達に害するものじゃない!」
「保護者を通しなさい。」
リナはバッサリ切り捨てる。
物理的に始末しないのはシモの前で冷静なお姉さんぶりたいだけだった。
彼女は世界一のスナイパーとして裏の世界では有名なのである、目の前の人間ぐらい敵でもなかった。
「いやいや、その前に話ぐらい聞いてくれてもいいだろ?
ヨシノブに対する話でもあるし。」
「おとうさんの話なの?」
シモがヨシノブの話と言われて食いつく。
横でリナはため息をつく。
「そうそう、ヨシノブの話だよ。」
「さっさと話すのよ!」
「まあまあ、落ち着いて、ヨシノブが損しているって事は知ってるかね?」
「損しているの?」
「そうだよ、タケフミとかいう小物がヨシノブが貰うべき報酬を搾取しているんだ。」
「あのゴミがなの・・・」
シモの怒りに火がつきだす。
「まぁまぁ落ち着いて、そのゴミの始末は私達がしときますから、代わりにと言ってはなんですが、我々にポーションを融通してもらえないでしょうか?」
「シモはゴミの始末得意なのよ?」
「いやいや、ゴミと言っても人ですからね、始末にはそれなりに手筈が必要なんですよ。
細腕のお嬢さんが出来るような事ではないですね。」
「うにゅ?できるのよ?」
「シモ、相手にしなくていい、細かい事はアズサお姉ちゃんがやってくれる。
そこの人、源アズサを通してください。」
「そ、それだと、与党に話がいくじゃないですか。
ここは話を持ってきた我々野党に・・・」
シモはリナの袖を引っ張る。
「リナ、ヨトウ、ヤトウってどんな刀なのよ?
よく斬れるならシモも欲しいのよ。」
「・・・」
リナも思わず声がでない。
そうだった、異世界のシモは日本の政治など知るはずもない。
「ははは、冗談が上手い子だね、要するにだ、おじさんの言う事を聞いていたらおとうさんにも喜ばれるよ。」
「おとうさんに喜ばれるの!」
「シモ騙されちゃダメ、お父さんは誰を信じろと言ってた?」
「リョウ兄の言う事を聞いて、いい子にするのよ。」
「それならどうする?」
「・・・シモを騙そうとする人は悪い人はなのよ。」
「それでいいのよ。」
「そんな人は斬っていいのよ。」
「間違いない。」
リナが肯定した所でシモが動こうとするが・・・
「はい、そこまで、シモちゃんストップだよ。」
刀を抜く前にリョウが駆けつける。
「さて、野党のゴミさんだったっけ?」
「木野だ!」
「失礼、ゴミゴミ言ってたから間違えてしまったよ。
さて、俺達に政治を絡めるな、手出しすればこの世から消える事になるぞ。
椅子取りゲームは他所でやれ。」
「なっ!椅子取りゲームだと!君は政治を何だと思っている!」
「それを言うなら反対以外の言葉も言え、マトモな政治を考えるなら、話を聞いてやる。」
「聞いてやるだと!何様だと思っているんだ!」
「やり合いたいのか?桐谷と?」
桐谷アキラとリョウの悪名は政治を行う者達には恐怖の代名詞とかしている。
「い、いや、桐谷と争いたい訳ではなく・・・」
「その子は爺さんが大事に可愛がっている子だ、下手に関わるとあんたの政党全員の首が落ちるぞ。」
リョウは殺気を込めて、木野に向き合うが・・・
政治家とはいえ、一般人の木野がリョウの殺気に耐えれる筈もなく、意識を飛ばしてしまったのだった・・・
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