第251話 シモの報告
「おとうさん、聞いてなのよ!遊園地楽しかったのよ!」
電話の向こうでシモが興奮冷めやらぬ状態で話してくる。
「あれ、遊園地に行ったの?」
「うん♪おじいちゃんとアズ姉に連れて行ってもらったのよ!」
「そうなんだ、それはよかった、シモちゃんとお礼を言ったのかい?」
「・・・はっ!おじいちゃん!アズ姉今日はありがとうございましたなのよ。」
シモは思い出したかのように大きな声で二人にお礼を言う。
「良く言えたね、何かしてもらったらちゃんとお礼を言うんだよ。」
「わかったのよ、それでね!それで・・・」
シモは余程楽しかったのか、ずっと遊園地の事について話していた。
それから暫くして、アズサに変わってもらう。
「今日はシモがお世話になりました。」
「いえいえ、私も楽しかったですから。」
「何かお礼をしたいのですが、何か欲しいものはありますか?源家のお嬢様に渡せるものがあるかは自信がありませんが。」
「化粧品をいただいておりますので、充分ですよ。」
「それでも、シモの生活まで面倒みてもらってますから。」
「それなら、主人に感謝を伝えてもらえますか?友人の感謝が一番喜ぶと思うので。」
「そんな事でいいなら、リョウに伝えておきます・・・」
すると電話先の人が変わる。
「ちょっと、アズサさんそれはズルいと思いますよ。」
現れたのはトップアイドルのミウだった。
彼女もまたリョウの婚約者なのだ。
「ふふん、シモちゃんと遊園地に行ったのは私ですから、それも仕方ないと思わない?」
「それでも、ズルイです。
シモちゃん、今度はコンサートに来てみない?」
「コンサート???」
「歌を聞くところなのよ。」
「歌?シモも歌いたいのよ、お歌好きなのよ♪」
「あーちょっと違うかな・・・」
ミウは微妙そうな顔をする。
「ならカラオケに行きましょう、お歌が歌えますよ。」
「いくのよ〜」
「アズサさん、それもズルイですよ!私が先なのに・・・」
「二人共ありがとうございます。シモが迷惑をかけます。」
「大丈夫ですよ、シモちゃんはいい子にしてますから。」
アズサの頭には今日一日暴れたアキラの姿が浮かんていた。
「おとうさん、シモいい子にしてるのよ。」
シモが飛び跳ねながら画面に映ろうとしているのをアズサが抱えて膝にのせる。
「すみません、アズサさん。」
「いいんですよ、シモちゃん、おとうさん見えるかな?」
「見えるのよ、あのね、からおけでお歌をうたうのよ♪」
シモは電話中、終始元気にはしゃいでいたのであった。
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