第239話 歓迎?
ディーンは生き残った兵士をまとめ、貴族を捕縛して、帰っていく。
その姿は哀愁に満ちていた。
「ルイスは帰らなくて良かったのか?」
「帰った方がどうしようもなります。
どうか此処においてください。
必ずマルドラド王国は今回の慰謝料をお支払い致します、その窓口として、今後の友好の為にもどうかお願いします。」
ルイスは深く頭を下げる。
「俺はいいよ、ルイスのせいじゃないんだから、抱え込まないように、国との対話はちゃんとするし、もし、敵対する事があってもルイスの身の安全は保証するよ。」
「敵対なんてしません、お兄様もお父様も必ず友好の道を歩まれます。」
「それならいいね、ルイスが留守中に基地で美味しい物が食べれるようになったんだ、一先ずはお茶にしようよ。」
俺はルイスを連れて、みんなでお茶にすることにしたのだった。
「ルイス、帰ってきたのよ。」
「シモちゃん、ただいま。」
「お茶を入れたのよ、飲むのよ。」
シモは和菓子と抹茶を持ってくる。
最近シモは和菓子にハマっていたのだった。
その為にお茶の入れ方も勉強しているようだが・・・
「シモちゃん、このお茶濃くないかな?」
シモが入れたのは、明らかに濃い緑色をしていた。
「失敗したのよ、混ぜても混ざらないのよ。」
「それじゃ、シモちゃんが飲んだらいいんじゃないかな?」
「・・・にがいのよ。」
「私が飲んでも苦いよね?」
「ルイスなら頑張れるのよ。」
「頑張らないからね。」
「お残しは許されないのよ。」
「シモちゃんがね。」
「シモ、失敗を人に押し付けてはいけないよ。」
「あう、おとうさんにバレたのよ。」
「これは俺が飲むから、ルイスに新しいお茶を入れてあげて。」
「ふにゃあ!おとうさんに飲ませるならシモが飲むのよ。」
「いいから、ルイスに入れてあげて。」
シモは肩を落してお茶を入れにいく。
「ヨシノブさん、いいのですか?それかなり苦いのでは?」
「折角シモがお茶を勉強しているからね、失敗ぐらいは付き合ってあげないと。」
「ルイス、入れてきたのよ。」
今度のお茶はちゃんと飲めそうな感じになっていた。
ルイスはお茶を飲み少し安堵する。
「シモちゃんが苦そうなお茶持ってきた時は歓迎されてないかと思いました・・・」
「シモはそんなつもりはないのよ、ただ、失敗したのよ・・・」
その結果を俺が飲んでいる事を気にしているのか、俺が飲むたびチラチラ見てきて、アワアワしている。
「もう、シモちゃん失敗を渡さないでよ。」
「今度からはしないのよ・・・」
シモがしょげているのだった。
一方帰国途中のディーンはリバルと関わった貴族を尋問する。
「何故、お前達はあの様な真似をしたのだ。」
「ディーン様!王族は素性の知れぬ平民上がりに何故そこまで気を使われるのですか!
多少功績で騎士爵に成り上がっただけでも腹立たしいのに、独立を許すなど、国を滅ぼす気ですか!」
「ここまで考えが無いとは・・・はっきり言おう強いからだよ。」
「はい?」
リバル達は理解出来ていないようだった。
その様子がディーンの頭を痛くする。
「報告は議会にもあげた筈なのだが・・・
ヨシノブさんは圧倒的な戦力を持っている。
残念だが私達の国では相手にならないぐらいにね。
君達も味わっただろ?
2万の軍勢が挑んでどうなった?
だから、私達は友好を模索していたんだ・・・」
「しかし・・・」
「ヨシノブさんはお人好しだからね、友好的に接していれば攻撃してくるタイプではない。
むしろ、利益を提供してくれるだろう、それを君達は・・・」
「・・・」
「言葉もないか、君達は王都に帰れば厳しく責立てる、家名断絶もあると心掛けよ。」
「そんな!ディーン様、ご再考を!」
「私を捕縛してまで動いたんだ、ただで済むとは思うな!
もう聞くことは無い、この者達を連れていけ、今後はこの者達を罪人として扱うように、情けをかけるものは同罪と致す。」
リバルとそれに同調した貴族は捕縛され、以後平民の罪人として扱われ王都に帰国するのであった・・・
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