第238話 圧勝

リバルは気を取り直し、突撃を敢行する。

「全軍突撃!奴を討ち取るのだ!」

兵士はヨシノブに向かい殺到しようとするが・・・

「おとうさんに近づけさせないのよ。」

シモが見慣れない刀を振るい、敵の首をはねていく。

そして、マルドラド兵を囲むように銃弾が降り注ぎ、無情にも数を減らしていくのだった。


そして・・・

「ふっははは・・・よいの〜これだから戦場はたまらん。」

銃弾飛び交う中にアキラは飛び込み中央で刀を振るい敵を討ち倒していく。


「あれ、何で弾にあたらないんだ?」

「おじいちゃん、当たりそうな弾を弾いて相手に当ててるのよ。」

「シモには見えてるの?」

「見えるのよ、おじいちゃんの動きは参考になるのよ。」

「もしかしてシモも出来たりする?」

「あれぐらいなら出来そうなのよ、でも、おじいちゃんはまだまだ余力があるのよ。」

シモも既に人外の領域に突入しているようだった。


「シモ、ボーッとするな、戦闘はまだ続いているぞ!」

パウルがシモに近付く兵士を撃つ。

「パウル、大丈夫なのよ、ちゃんと気付いていたのよ。

でも、シモはおとうさんを守るからここから動けないのよ、だから・・・撃つのよ!」

シモはスカートからハンドガンを取出し、片手で近付く兵士を撃ち、もう片手は刀を握り振るっていた。


アキラが敵兵に向かい叫ぶ。

「腕に自信のある者はおらぬか!

我が前に立ちはだかってみよ!」

「言わせておけば!このグリスビーの槍を前にして生きていられると思うな!」

一人の巨漢がアキラの前に立つ。

「おう、先手は譲ってやるぞ、早くこい。」

「舐めやがって!それが遺言だな、クリム流秘伝、破岩鉄砕波!」

グリスビーの槍から魔力を伴う螺旋の衝撃波がアキラを襲う。

「これを喰らって生きていた者はおらぬ!冥土で後悔するのだな!」

「ふむ、この程度か・・・情けないのぅ・・・」

アキラは刀を持ってない左腕で上から押さえつけるように衝撃波を潰す。

「・・・へっ?」


「これが秘伝とは悲しい家だのぅ、そうじゃシモちゃんよく見ておくのじゃぞ。」

「なになのよ?」

「桐谷流奥義、椿!」

アキラが一気に間合いを詰め、居合斬りで相手を斬る。

すると相手の胴体から半分に斬られていた。


「おお!!おじいちゃん、凄いのよ!

シモもやるのよ!」

シモが居合斬りを真似ているが、アキラのようには出来ていなかったが、それでも普通とは格段に差のある攻撃ではあった・・・



アキラと子供達はあまりに強く、マルドラド兵が戦闘不能になるのは早かった・・・


戦闘後、リバルが捕縛される。

そして、ディーンも救い出されるのであった。


「ヨシノブさん、申し訳ない。」

ディーンは深く頭を下げる。

「ディーンさんに悪意が無いのはやり取りでわかるけど、もう少し国内を纏めて来てもらえるかな?

今回の事で更に溝が出来たみたいだしね。」

「そうですね・・・貴族の引き締めを行います。

しかし、大使館ぐらいは置かしてもらえませんか?」

「それぐらいなら構いません。ただし、兵士の滞在は10人までとします。」

「わかりました、ルイス、予定通り残ってヨシノブさんとの友好を模索してくれ。」

「はい、お兄様任せてください。」

「本来ならもっと歓迎されたはずだが・・・

辛い仕事を任せる。」

「いえ、私が望んでおりましたので、お兄様が気にすることではありません。

ヨシノブさん、改めてお世話になりますね。」

「わかった、ルイスが敵とは思えないが一応監視の目はつけさせてもらうよ。」

こうしてルイスは監視の目がありつつも、基地に滞在する事が決まるのだった。

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