第215話 修行の約束

「しかし、いい動きをする子供達だな。」

城に入り、周囲を警戒しながら進む中、アキラは連携をとり周囲を確認している子供達を褒めていた。

「それほどですか?」

アキラが褒めるということは中々ないとリョウから聞いていた。


「うむ、お主を守ろうという気概が感じられる。

しかし、残念なのは強敵との対峙が少ないのであろう。

一点突破に弱そうだな。」


「一点突破ですか?しかし、銃弾で弾幕をはれますし・・・」

「それが甘い、銃が効かなければどうする?

ワシのようにかわして突破するやもしれん。

その際の守備が出来てない。」

パウルは指摘に冷や汗を流す、確かに其処までの想定はしていなかった。


「おじいちゃん、どうすればいいか教えてほしいのよ。」

シモはおじる事なくアキラに質問を投げ掛ける。

「圧倒的火力でねじ伏せるか、接近戦でも戦える強者を用意すべきだな。」

「アキラさん!僕達に稽古をつけて貰えませんか?」

パウルはアキラに修行を願い出る。


「ふむ、ワシの滞在費として教えてやろう。

だが、ワシの指導は厳しいぞ。」

「それでもお願いします。

僕達はおとうさんを守りたいのです。」

「その意気は良し!桐谷流を名乗れるぐらいにはしてやろう。」

「ありがとうございます。」


「シモも修行したいのよ?」


「お嬢ちゃんは無理かのぅ、ワシの剣は男の体格が必要になる。」

「悔しいのよ、シモは強くなりたいのよ。」

「うむ~ならば、少し考えてみようではないか。」

「やったのよ、おじいちゃんいい人なのよ。」

「ワシをいい人と言うのは珍しいのぅ、よし、シモちゃんが使えるような剣技を考えてあげよう。」

「楽しみなのよ。」

シモは嬉しそうにアキラの周りを飛び跳ねている。

そして、ニコニコそれを眺めるアキラの姿は微笑ましいものがあった。


「ここに敵がおるぞ。」

アキラがふと部屋を指差す。


「何でわかるのですか?」

「気配だな、邪な魂が此処にある。」

「全くわからないのですが?」

「ワシの修行をすればわかるようになる。」

「・・・俺もですか?」

「子供がきたえると言っておるのに、保護者のお前が楽してどうする!

子供以上に性根から叩き直してやる!」

微笑ましい光景から一転、俺はアキラの琴線に触れたようで叱られる中、俺の修行も決まった瞬間だった。


「それより、中に行くぞ。

修行は敵を倒してからだ。」

「・・・はい。」

アキラに言われるまま扉を開けた。

中には何故か泣き崩れているツバサがいた・・・

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