第212話 援軍

「アレクさんから援軍要請ですか?」

基地に帰ったばかりの俺にアレクの息子、アランが来ていた。

「はい、魔物の数が多く、父アレクの軍だけでは対処出来ず、このままでは、反逆者ツバサを討つことが出来ません。

どうか、援軍をお願いいたします。

代わりにこれをお納めを・・・」

アランはスコール公爵家に伝わる剣や宝物を差し出してきた。

どれも国宝に引けをとらない一品であった。

それをフレデリカが持ってきていた。


「フレデリカさん、お久しぶりです。

その節はお世話になりました。」

「いえ、私の方こそ、病を治していただいたのに、国から追われる時に何も出来なくて申し訳なく・・・」

「いえ、いえ、フレデリカさんのお気遣いに感謝しておりました、アランさん、宝物は入りません。

フレデリカさんに受けた恩の為にも援軍を派遣します。

それにツバサ君を倒さなければならない理由もあります。」

「誠にございますか?」


「ええ、すぐに行きましょう。ヘルマン、部隊の編成は出来る?」

「すぐに二百の兵がすぐに動けます。」

「じゃあ、二百を預かるよ、ヘルマンとサリナは基地の防衛に残って貰える?

いざとなれば大和に籠城してもらえるかな。」

「わかりました。」


「あと、マツさんとウメさんにも連絡をショウ君達日本人がいないうちにツバサくんを始末する・・・

いや、死んでも復活したらいけないからね、死なない程度に捕縛しておかなければならないのか・・・」


「それなら封印しましょう。」

「ファイ封印って?」

「言葉の通りですよ、未来永劫復活出来ないように固く封印すればいいんです。

死なない相手への定番ですよ。」

「ファイは封印出来るのか?」

「出来ます、でも相手が勇者なら聖剣を遠ざけて死にかけぐらいにしないと駄目かも知れませんね。」


「わかった、パウル、オットー、シモ聞いてたな、傍で護衛に付く二人が一番相手する可能性が高い、始末しないように気をつけろよ。」

「わかりました。命だけ繋いでいればいいんですね?」

「そういう事だ、全員すぐに出るぞ。」

「おお!!」

俺はすぐさまトラックを大量に呼び出し、出陣する。

燃料、補給物資は俺が呼び出せるから、支度は早い、ローラン王国にその日のうちに向かう。


国境線を越えた辺りから魔物の数が多くなる。


戦車、装甲車、トラックから射撃を行い、殲滅していくが行軍速度は低下していた。


「多いな・・・」

俺は各車両に移動しながら補給を行っている。

しかし、魔物が多すぎる、周囲は魔物の凄惨な骸が転がっていた。


「こ、これは・・・」

マツ達村人も覚悟して帯同したようだが、魔物の凄惨さに怯えているようだった。


「マツさん達はトラックにいてください。

前に出ると危ないですよ。」

俺は戦おうとしている村人を制止する。

「しかし、俺達は見ているだけなんて・・・」

「接近戦は逆に邪魔になります。

この数ですからこちらも余裕がありません、ここは下がっていてください。」

俺の言葉に少し悔しそうにしながらも聞き入れてくれる。


こうして少しずつだがカクタス領に近付くのだった。

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