第182話 タケフミ到着後・・・

基地に戻ったタケフミは・・・自分の扱いに不満を持っていた。


港にいたショウに話そうとするも・・・

「よう、ショウ。

また此処で世話になるから色々よろしくな。」

「タケフミ、お前どの面下げて俺の前に立っているんだよ。」

ショウの視線は冷たかった。


「おい、なんだよ、友達にそんな態度をとるなって。」

「友達?ふざけるなよ、あんなことしておいて今更友達な訳がないだろ。

他を当たれよ。」

ショウは無視してタケフミの前から立ち去った。


「なんだよ、アイツは!あれが久々に会う友達に対する態度かって!」

タケフミはふてくされながら官舎に入ろうとするが・・・


入口で待ち構えていたオットーが通さない。

「お、おい、何で入れてくれないんだよ、ヨシノブが保護してくれるんだろ?」

「おとうさんがお前の取扱いに困って連れて来たのは知ってるが、お前を保護するとは聞いていない。」

「いやいや、連れて来たんだから責任があるだろ?」

「無いね、あるとしたらゴミを何処に捨てるかということだけだ。」

「ま、待てよ、別に逆らったりしてないだろ?」

「今はな、でもお前は受けた恩を忘れて、自分勝手に過ごすからな。

おとうさんの近くにいる資格なんてない。」

「じゃあ、どうすればいいんだよ。」


「俺達が特別に家を用意してやった、そこに住め。」

「基地じゃないのか?」

「違うね、基地の外に建築中の町だ、そこで好きに暮らせ。」

「なんだ、家を用意してくれているのか。

なら先に言えよ。

何処なんだ?」

「・・・そこに行け。二度と基地に近付くな。」

オットーは地図を地面に落とす。


「なんだよ、感じ悪いなぁ。

まあいいか。」

タケフミは地図を拾い、書いている場所に向かう。


それは基地の外にあり、表通りから離れたところにあった。

「なんだよこれ、みすぼらしすぎだろ。」

指定された家は屋根と壁が一応ある程度の家だった。

そして、家の中には何も無い・・・


ここでタケフミは気付く、自身が食糧も毛布もまして金銭すらろくに持っていない事に。

「しまったなぁ・・・って、そもそもなんで用意してないんだよ、また基地まで行くのかだりぃなぁ・・・

いや、もう基地で過ごしたらいいだろ、こんなところ人が住むような場所じゃないしな。」

タケフミはもう一度基地に入ろうとするが・・・


「基地の入場は制限されております。」

門番の兵士に止められる。

「なんだよ、俺は日本人でヨシノブの知り合いだ、さっさと通せよ。」

「・・・確認しますので。名前を聞かせてもらいたい。」

「くそっ、タケフミだ!そう言えばわかるから。」

「では、お待ちを。」

「俺に手間取らせやがって、お前達わかっているのか!後で叱られる事になるぞ!」

タケフミは待っている間も悪態をついていた。


「お待たせしました。」

「やっと来たか、さっさと通せよ。」

「ヨシノブ様は取込み中でしたので、警備担当のヘルマンさんに聞いた所、通すわけには行かないとの事でした。」

「なっ!何を言ってるんだ!ならマイだ、マイに確認してくれ、俺はマイの兄なんだ!」

「ヘルマンさんの言葉を告げます。

おとうさんに近付くなら命の保証はしないとの事です。

何をしたかは知りませんが、子供達に情けはありませんから近付かない方がいいですよ。」

「そんな!いや、なら俺はどうやって飯を食べたらいいんだよ。」

「一応、配給がありますので食べるだけは出来ます。

あとは仕事を探されては?」

「ま、待てよ!せめて仕事を斡旋してくれよ。」

「門番にそんな業務はありませんよ。

でも、この町は建築中ですから仕事はいくらでもありますよ。」

何を言っても聞いてくれない兵士に諦め、


タケフミは肩を落として一先ず、配給がされている場所に向かうのだった・・・

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