第152話 ヨシノブのいない町

ヨシノブがエルフの里に行っている頃に基地では異変が起きていた。


「サリナさん、多くの人がこちらに向かって来ています。」

周囲の警戒をしていた子供達を代表して、ヘルマンから報告を受けたサリナは確認の為にヘリを飛ばして偵察に行く。


「あれは・・・」

良く見るとサリナが馴染みのある紋章をつけた馬車が多くの人達を連れてラードの町の方に向かい進んでいた。


「エーリヒ着陸します。」

「サリナさん!危険です。」

「大丈夫です、あれは私のお父様とたぶん町の人です。」

サリナはヘリを下ろし、集団に近づく。


「お父様!」

手を振るサリナに住人達が先に気付く、

「お嬢様!領主様、お嬢様がおられます!」

住人の声にサリナの父、リザークが馬車から降りて駆け寄ってくる。


「おお、サリナ、元気にしていたかい?」

「はい、お父様、お会いできて嬉しいです。」

一先ず再会を喜びあうのだった。


そして、事情を聞くとどうやらローラン王国では辺境の領地の税金が上がりすぎた上、

カクタス侯爵の嫌がらせもあり、モス領では暮らしていけない程となっていた。

その為、リザークを慕う住人達と共に領地から逃亡、ルーカスを頼りに逃げて来たということだった。


「お父様、それならヨシノブさんの領地にお越しください。

私が責任を持って、皆さんが暮らして行けるように頼みますから。」

「サリナいいのかい?ヨシノブさんの迷惑になるのでは?」

「大丈夫ですよ、住人は少ないですから、きっとヨシノブさんも受け入れてくれます。


ヨシノブさんは少し出掛けていて確認はとれないのですがまずは町に来て疲れを癒してください。

私は先に戻り、皆さんの出迎えの準備をしますね。」

「わかった、サリナに頼むよ。」

こうしてリザークはヨシノブの基地に来ることになる。


「ヘルマン、私のお父様が領民の方とこちらに来るの、出迎えに行ってくれないかしら?」

「わかりました、車を派遣致します。」


「アルバート、貴方は宿営出来るようテントを準備してくれないかな?」

「はい!サリナさんの頼みならみんなも頑張ると思います。」


「お願い、マイさん、皆さんの食事の準備を手伝ってくれないかな?」

「いいですよ。直ぐに始めますか?」

「うん、お願い。」

サリナの指示の元、受け入れ準備を行うのだった。



「サリナさんのお父様は何処ですか?」

走ってきたトラックにみんなが驚いている。

そんな中、トラックから子供が現れた。

「私がサリナの父、リザークだが、君達は?」


「僕達はヨシノブさんとサリナさんに育てられている者で、ヘルマンと言います。

皆さんを迎えに来ました。

身体の具合の悪い人、子供、女性、老人からこのトラックに乗ってください、直ぐに町までお送りします。あと、すぐに追加で来ますから、混乱の無いようにお願いします。」

ヘルマンが率いる子供達の指示に従い、トラックに分散して乗っていく。

そして、何往復することで全員を町まで連れていくのだった。

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