第148話 基地に戻る。
俺達は一度基地に戻る。
アホガンテに破壊された膝を完治させる為にも一度エルフの里で薬を取りに行く必要があるが、その前にサリナにパーティーが終わった報告をしようと思ったからだ。
「サリナ、ただいま。」
「ヨシノブさん!」
サリナは俺に駆け寄ってくる。
「膝は大丈夫ですか?痛みませんか?」
どうやら連絡はきてきたようでサリナは俺の膝を心配してくれる。
「サリナ、痛みは大丈夫。
でも、動けないから近いうちにエルフの里に薬を取りにいくよ。」
「ヨシノブさん・・・」
「サリナさん、悲しそうな顔をしないで、それより子供達を褒めてあげて、この子達のお陰で助かったんだから。」
「パウル、オットー、カール、ハンス、シモ、ありがとう。
みんなのお陰でヨシノブさんが助かったわ。」
「おかあさん、当然のことなのよ。」
「そうだよ、おとうさんを傷付ける奴はゆるさないよ!」
子供達は何処か照れ臭そうに、でも誇らしい表情をしていた。
「それとサリナ、新しい客人だよ、魔族の貴族フォルサの娘さんでファイさん、今後、魔族との交渉を受け持ってもらえる。」
「ファイです。父フォルサからヨシノブさんと友好を深めるように言われてます。
何かあれば私が対応しますのでよろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。
サリナと申します。私は・・・」
シモはサリナの言葉をさえぎる。
「おとうさんのおよめさんなのよ。」
「こ、こらシモちゃん、ごめんなさいね。」
「あーなるほど、子供達が言ってるおかあさんってサリナさんの事なんですね。」
「・・・はい、呼ばれてます。」
サリナはどことなく恥ずかしそうにする。
「・・・ふむ、サリナさん仲良くしましょう。
私はサリナさんの正妻の立場を取らない事を約束します!
その代わり、ヨシノブさんに頼み事の時は少し口利きをお願いしたいのですが?」
「あ、あの、どのような事でしょうか?」
「美味しいものを食べたい時です!」
「それぐらいなら、言ってくれればご用意しますし、ヨシノブさんにも頼みますよ。」
「おお!心の友よ!」
ファイはサリナに抱きつく。
「ちょ、ちょっと、ファイさん?」
「私は美味しいものを食べる為に此処に来たの。
是非お願いしますよ。」
「え、えーと、魔族との交渉の為では?」
「そんなの二の次ですよ!
色んな理由をつけても、お父様が美味しいものを食べたいだけなんですから。
少しぐらい我慢させたらいいんです。
代わりに私が食べます!」
ファイはキッパリ言いきる。
「い、いいのかなぁ~」
「いいんです!」
ファイは力強く言いきった。
「ファイさん、フォルサさんだけじゃなく他の魔族との交渉もしてもらいますからね。」
「あっ、ヨシノブさん、わかってますよ。
ただ意気込みを伝えたかったのです!」
俺はどことなく不安を覚えながらもファイを迎え入れるのだった。
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