第123話 勇者と謁見

俺は基地に戻り、勇者がマインズ王国に来る事をショウ達に伝える。

「ショウくん、勇者がマインズ王国に来るそうだ、たぶん会えると思うけど行くかい?」

「はい!タケフミもいると思いますし、ツバサにも会いたいですね。」

「よし、じゃあ、来月はみんなでマインズ王国に行こう。」

ショウ達を連れて行くことになり、基地をサリナに任せる。


「サリナ、留守を頼むよ。」

「任せてください。」

俺はサリナと離れる事を少し寂しく思いながら、勇者の来訪に合わせ、マインズ王国に向かう。


今回のメンバーはショウ達日本人に加え、ルクスとルイスがついて来ており、子供達からはパウルとオットーが俺の護衛として銃火器を装備して警護についた。


「パウル、オットー警護なんていらないよ、マインズ兵もマルドラド兵もいるんだし。」


「ヨシノブさんは何を言っているのです?

あいつらが何処まで信じれるのですか、いざとなれば信じれるのは家族だけですよ。」

「そうです、僕達ならこの装備でヨシノブさんをお守り出来ます!」

二人の少年は誇らしげに胸を張る。

その様子を見たサリナは二人に優しく微笑み、

「パウル、オットー、ヨシノブさんをよろしくお願いしますね。」

「おかあさん・・・必ずおかあさんの元に連れて帰ってきます!」

二人はサリナに敬礼をする。


俺はそれ以上言わずに警護を受け入れるのだった。

こうして俺達はマインズ王国に向かうのだった。


そして、マインズ王国では、城に俺達の部屋をもうけてくれて、

勇者に会いやすいように謁見の際も部屋に入れるよう、手配してくれていた。


その際、ルーズ王に直接会い

護衛の装備の説明をして、持ち込みの許可を願い出た。

ルーズは寛大にも子供達の装備を許してくれた、

「ルクスから聞いておる、ヨシノブの身を守る為であろう。

子供達が相手するのはヨシノブの敵だけと聞く、ワシは敵対する気はないからのう。」

ルーズは大きく笑い、連れて来ていたパウルとオットーの頭を撫でていた。


そして、謁見の日、

「貴殿が勇者ツバサか?」

ツバサとユカリはルーズ王に謁見していた。

「そうだ、俺が勇者ツバサだ。」

「私が聖女ユカリよ。」


「勇者と聖女が共に来るとは思わなかったが・・・

まあよい、勇者殿、竜を退治するのは止めて貰えぬか?」

「なんだと!」

「勇者殿が退治しようとしているのはエルフの信仰の対象でもある、竜なのだ、

特に被害などもない上、人類に協力してくれる善き竜だ。

退治されると困る事となる。」


「うるさい!

勇者といえば竜退治だろ?

俺が倒すと言っているのだからお前達は従えばいいのだ!」

「なっ!勇者殿がこれ程傲慢とは・・・」

「なんだと、この俺を愚弄する気か!」

勇者は腰にある聖剣に手を伸ばす。


「ツバサ、待って!私も話があるんだから!」

ユカリはツバサを制止する。

「ルーズ王、この国に出回っている化粧品を私に献上しなさい。

あれは私のような高貴な者が使う物です。」


「あれは市中の商人が販売しているもの、購入なされては?」


「何をいうのです、製造元があるでしょ!

其処を私に寄越しなさいと言っているのです。」


「とは申されても、あの商品は輸入しておるそうですからな、私にはどうしようもない。」

「ならば、その商人の身柄を預かります。

よろしいですね。」


「良いわけがなかろう!罪なき商人に何をする気だ!」


「おい、おっさん!王だと思って下手に出てればいい気になりやがって、こっちは世界を救う勇者様と聖女様だぞ。

逆らっていいと思っているのか!」

ツバサは自分達の要求を断るルーズ王に切れている。


「出来ぬものは出来ん!」

「つまり、この国は勇者の敵ということだな、勇者の敵ということは人類の敵ということだ!

覚悟はいいんだな・・・」


「何を言われようと理不尽な要求を受けることはない!」

ルーズの拒否にツバサは剣を抜く!

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