第85話 マインズ王国

マインズ王国に着くと港には兵士の家族が・・・

なぜかその前にドワーフの群れが集まっていた。


「ウ、ウイスキーをくれ・・・」

「頼む、わけてくれぬか、剣ならいくらでもある。」

「酒、酒はどこだ・・・」

どうやら渡した酒は飲みきったようだ、

ドワーフ達は砂漠で水を求めるようにウイスキーを欲していた。


俺はドワーフ達の先頭にいて、下船の邪魔をしている三人に声をかける。


「ヒビキさん、バランさん、ジョニーさん、兵士の皆さんと家族の再会を邪魔しないでください。」

「頼む、ワシとウイスキーを再会させてくれぬか?」

どうやらドワーフの皆さんは退く気は無いようだ。


「仕方ないですね」

俺は適当にウイスキーを箱に入れ持ってきた。

「各自1本ずつですからね!」

「「「おお!!」」」

ドワーフ達は順番にウイスキーを持っていく。

そして、何故か剣を置いていった。


空になった箱と山積みの剣が後に残る。

「はぁ、別に剣が欲しい訳じゃないんだけどなぁ・・・」

俺はタメ息がもれる。

しかし、マインズ兵は剣を羨ましそうに見ていた。


「いりますか?」

凄い勢いで頷いている、

「今までお世話になりましたから、持っていってください。」

兵士達は嬉しそうに剣を持って帰宅していった。


翌日、ルーズ王と診察もかねて面会する。

「大丈夫ですね、肺病は完治しましたよ。」

「うむ、お陰で助かった、何か礼をしたいのだが欲しいものはあるか?」

「それなら、店を一つ貰えませんか?」

「店?」

「はい、どうもドワーフさん達はお酒が無いと困るみたいですので、店舗を開こうと思います。

出来れば港に近い方がいいですね。」


「わかった、すぐに用意いたそう。」

「ありがとうございます。これでマルドラド王国帰国してもドワーフさん達の事を気にしなくてすみます。」

ヨシノブの口から帰国の言葉が出てきた。


「ヨシノブ殿、無理に帰国しなくてもよいのではないか?」

「いえ、ルイスや兵士を預かってますから、送り届けないと。

それにサリナも祖父の元を離れていますから。」

「ふむ、ならば無理強いをするのは良くないか・・・

だがルクスは連れていってくれ。

ヨシノブ殿に護衛は必要だからな、兵士五百と共にヨシノブ殿の傘下として使ってくれ。」


「いやいや、ルクスさんは王子様でしょ?」

「なに、ヨシノブ殿と縁が出来ると思えば良い話だ。

もし、どこかで死んだとしてもヨシノブ殿に責任を追及したりはせん。」

「・・・ルクスさんはそれで良いのですか?」

俺はルクスを見る。


「俺も喜んで船に乗せて貰うよ。

ヨシノブさんの見る世界を見せてくれ。」

ルクスは今回の船旅でヨシノブの力に魅了されていた。

そして、この船で世界を回ってみたいと思っていた。


「わかりました。ルクスさん帰りたくなったら何時でも言ってください。」

「ああ、ならないと思うが、その時は伝えるよ。」

俺とルクスは改めて握手をするのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る