第70話 カエデの気持ち
私は後ろから気持ち悪い視線を感じていた。
自分が大きくなってきた頃から人の視線に敏感になっていた。
容姿が綺麗と言われているのは知っていた。
男の子に告白されたのは何回もあった。
その都度断っていたのだが、そのせいでいじめにあったりもした。
妬みで友達だと思っていた子が嫌がらせをしてくるようにもなった。
私にとって綺麗は良いことではなかった。
いじめられたく無い、その思いから、人の視線を気にして、恨まれないようにしてきた為に人の視線に敏感になっていたのである。
その視線がタケフミから感じられる。
ねっとりと体を見る視線・・・
泣きそうになる。
でも、タケフミをマイやヨシノブさんから離さないと・・・
私は使命に燃えていた。
私にとってマイは掛け替えのない親友だ。
いじめられていた私を助けてくれて、妒むことなく容姿を受け入れてくれて、純粋に褒めてくれる。
マイを通して友人も出来た。
そのマイが感情をあらわにして泣いていた。
涙を止めるには原因のタケフミさんを遠ざけなくては・・・
マイの兄でもあるタケフミさんとは面識はあった。
親友のお兄さんに今まで失礼な事はしたことがない。
だって、マイの兄なんだから。
でも、この視線はたまらない・・・
なんで?なんでこんな気持ち悪い視線で私を見てくるの?
今まで無かったのに・・・
泣きそうな気持ちになりながら案内を続ける。
そんな中、ふと気付く。
そういえば、ヨシノブさんから変な視線は感じなかったな?
助けてもらった恩も感じていたけど、変な視線は無かったと思う。
だいたい、私は奴隷になっていたのだから、私を手に入れた時にもし変な事をしてきても、私は抵抗出来なかったんだよね・・・
そこまで考えると、ふと思わず自分がヨシノブに抱かれている姿を想像してしまった。
私は裸になって・・・ベッドの上で足を広げられているの、
見せてはいけない場所をヨシノブさんに見られて、触られたり、な、舐められたりするのかな?それで私は感じてしまうのよね、
それで私ははしたなくヨシノブさんを求めてしまって・・・
ヨシノブさんが私のなかに・・・
そこまで考えて、頭をふって妄想を消す。
な、なんてハレンチな事を考えているのよ!
だいたい、ヨシノブさんがそんな事をするわけ無い・・・
そこまで考えると少し悲しくなった、
あれ?なんで悲しくなったの?
ヨシノブさんはマイも含めて私もミキも子供扱いしている。
自分達もそれに甘えているのは自覚していた。
でも・・・
大人として見られたいという自分の気持ちに気付く、それはヨシノブになら・・・
カエデは自分の初恋に気付いてしまった。
その事に気を取られていたら後ろの気持ち悪い視線を無視出来ていた。
胸の奥が暖かいそんな気持ちだ、早く用事を済ませてヨシノブの元に帰りたくなっていた。
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