第46話 ツバサside

見知らぬ少女と知らない部屋にいた。

俺は海原ツバサ、14歳だ、

友人達と帰宅していた筈なのだが、気がつくと此処にいた。


後で聞いたのだが、この少女は俺の最愛の女、マイの友達でユカリと言うらしい。


「おお!成功したぞ!」

周りで喜んでいる大人達がいる。


「ここは何処なんです?」

俺はオドオドしているユカリに代わり、勇気を出して聞いてみる。

「おお、勇者さま、此方はドード大聖堂にございます。」

「えっ、それはいったい・・・」

「まあ、それは追々詳しく説明致しますので、まずはこちらに。」

俺は混乱しながらも、大人達の案内の元、気がついたら歓迎の宴に参加していた。


「なんだ、これは?」

着ていた服は脱がされ、豪華な衣装に着替え、パーティーに出ている自分に困惑している。

同じようにユカリも美しいドレスに着替え、参加していた。


代わる代わる二人の元には偉そうな人が挨拶に訪れる。

すると不思議なもので自分が偉い人になったかのような錯覚を覚える。

パーティーが終わる頃には自分達は選ばれた者なんだと理解していた。


翌日、昨日挨拶に来ていた司教が俺とユカリに説明する。

どうやら俺は勇者でユカリは聖女という役職らしい。

これは世界に一人しかいない役目で世界を救う使命があるのだとか。


そして、その為の力とは・・・


「ステータス」

勇者level1

聖剣装備


どうやら聖剣を装備出来るのが特別のようだった。

この事を伝えると司教は大喜びして、一振の剣を持ってきた。

この大聖堂に伝わる聖剣のようだ。

俺はそれを何気なく抜く。

抜いた瞬間に身体中に力が漲る。


「凄い!これなら何でも出来そうだ!」

物凄い高揚感につつまれ、自身が全能になった気がした。


「勇者様、どうか我等の為、世界の為にそのお力をお貸しくださいませ。」

司教は恭しく俺に頼んでくる。


そうだな、勇者なんだから一般人を助けてやるか・・・

俺はこの時、増長していた・・・




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